飲食店におけるお客様の滞在時間と回転率は、売上を左右するひとつの要素です。飲食店の形態や時間帯により最適な滞在時間と回転率は異なりますが、現状を把握してコントロールできるように対策を図ることで、店舗の売上向上につなげられます。
今回の記事では、滞在時間を最適化するためのポイントや滞在時間の計測方法について解説します。
目次
飲食店は滞在時間と回転率の把握が重要
飲食店にとってお客様の滞在時間と回転率は、売上に大きく影響する要素です。回転率とは、お客様の来店がどれだけあったかを示す指標で、以下のような計算で表せます。
「回転率 = 1日の来店数 ÷ お店の席数」
たとえば、30席の飲食店で1日に60名の来店があれば「60(名) ÷ 30(席) = 2回転」となります。
飲食店が売上を伸ばすには顧客単価を増やすか、回転率を上げる必要があります。飲食店は席数に限りがあるため、多くのお客様に来店いただいても外で待ってもらうか帰ってもらうことになります。この状況を避けるため、どうすれば回転率を上げられるかを考えなければなりません。
そして、飲食店の形態や規模、時間帯などにより最適な滞在時間や回転率は異なります。滞在時間を短くして回転率が高いほうがよいケースもあれば、反対に滞在時間を長くしたほうがいいケースもあります。そのため、ご自身のお店にとって最適な滞在時間と回転率を把握して、コントロールすることが重要になってきます。
滞在時間を短くしたほうがいいケース
滞在時間を短くしたほうがよいケースは、多くのお客様が訪れやすいピークタイムです。たとえば、11:30〜13:30ごろのランチタイムや19:00〜21:00のディナータイムなどは、来店が増える時間帯です。一般的な飲食店の場合、ピークタイムは限られているためこの時間にいかに回転率を上げられるかでお店の売り上げが変わります。
とくに顧客単価が低いファストフード店といった形態の飲食店では、滞在時間は短いほうがよいといえます。客単価や粗利が高い高級なフレンチなどの飲食店は回転率が少なくても売上をカバーしやすいですが、単価が低い飲食店ほど回転率を高められる工夫が必要です。
滞在時間を長くしたほうがいいケース
一方で滞在時間を長くしたほうがいいケースは、ピークタイムを過ぎた時間帯です。お客様が集中しない時間帯はゆっくりと過ごしてもらうことで、居心地のよいお店と思ってもらえるため顧客満足度のアップも期待できます。また、どの時間帯でもお客様で賑わっている飲食店のほうが、通行客からも人気のお店だと感じてもらえるようになり集客効果にもつながります。
居酒屋やBarなどの追加オーダーが見込まれる飲食店も、滞在時間が長いほうがいいといえます。回転率を上げるよりも、客単価のアップを狙うほうが効果的です。ただし、あまりにも長時間滞在していると、注文がストップしてしまうこともあるため、最適な滞在時間の見極めが必要です。
飲食店の滞在時間の計測方法
まずは、お客様の滞在時間を計測することから始めましょう。以下のツールやサービスを導入することで、滞在時間の計測が効率的におこなえます。
クラウドカメラ・AIカメラの導入
滞在時間を計測するために、クラウドカメラの導入がおすすめです。クラウドカメラはインターネット接続ができ、撮影した映像をクラウド上に保存してくれるカメラです。スマホやパソコンなどから、ライブ映像や過去映像を確認できます。
クラウドカメラのタイプやサービスによっては、複数のカメラ映像を一元管理できるものや、双方通話ができるマイクやスピーカー機能などがありさまざまな活用方法が可能です。そのため複数の店舗を運営している飲食店オーナーや、店舗を巡回しなければならない企業のエリア担当者といった方の飲食店管理がスムーズになります。
AI機能が搭載されているAIカメラは、来店数や滞在時間をAIが自動で計測してくれます。店舗が任意の条件を設定しておくことで、AIが設定されたエリアや時間帯などの条件をもとに人物を識別して、滞在時間を計測します。計測したデータはさまざまな条件での滞在時間の分析に役立ちます。
クラウドカメラは滞在時間の計測だけではなく、店内のトラブル回避やセキュリティ向上、さらには多店舗巡回の効率化や接客オペレーション改善など、飲食店運営において多様なシーンで有効なツールです。
AIカメラによる滞在時間の計測について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
AIセンサーの導入
AIセンサーを用いたデータ計測の方法もあります。スマホから発するWi-Fiの電波をもとに計測できる仕組みのものがあり、天井などに取り付けて使用します。データ取得に特化しているため取得できるデータ量の多さが特徴です。
来店客とスタッフを分けて計測できるAIセンサーもあるため、精度の高い計測も可能です。さまざまな情報データを抽出しより複雑な分析ができるため、来店見込み客やピークタイムの予想、スタッフ配置やスケジュールの改善などにも活用できます。
滞在時間連動型サービスの導入
滞在時間連動型サービスとは、お客様の滞在時間や待ち時間を価値と捉えて特典に変えるサービスです。お客様の滞在時間を自動で計測して、その滞在時間に応じて飲食店の特典を付与できるサービスが展開されています。滞在時間の計測方法は、お客様のスマホにアプリを入れてもらうことで、スマホアプリの位置情報から自動で計測できる仕組みです。
滞在時間の条件や特典などを飲食店側が設定しておくことで、条件をクリアすればお客様のアプリにポイントやクーポン配布などの特典を付与できるようになります。たとえば、飲食店のピークタイムをずらして来店した下さった方や、ピーク時間帯に短時間で食事をすまされた方に対して特典を付与するといった活用ができます。
滞在時間連動型サービスを導入すれば、お客様の滞在時間を自動で計測してくれるほか、飲食店側の条件に合わせた特典付与も同時におこなえるようになります。お客様側にとっては、滞在時間に協力するだけで特典が付与されるため顧客満足度の上昇につながり、店舗側にとってはピークタイムの混雑緩和などの対策ができます。
飲食店の滞在時間を最適化するポイント
ここでは、飲食店の滞在時間を短く(回転率を高める)することを中心としたポイントを紹介します。
店内のレイアウトを見直す
回転率を高めたい場合は長居してしまうようなレイアウトや内装、家具などは避けることがポイントです。広々としたテーブルにゆったりしたソファといった居心地がよい店内だと、お客様の滞在時間が長くなります。反対に、テーブルの間隔が狭く固めの椅子の場合はあまり長居できず食事を終えればお店を出ようとします。
たとえば、立ち食いや立ち飲みの形態は料金の価格帯を下げる代わりに、早めに食事を終えてもらい回転率を上げる仕組みです。ファストフード店でも、小さなテーブルと椅子が配置されている店舗が一般的です。
また、テーブルとキッチン、レジは動線を意識したレイアウトであることも必要です。お客様が食事を終えたらすぐに新たなお客様を迎えられる体制が望ましいため、無駄な動線がないようにレイアウトを見直すことも最適化のポイントです。
接客の改善をおこなう
お客様が来店してから退店するまでに必要な接客をスムーズにすることで、滞在時間を短くできます。注文や会計方法に注目して、対策をおこなってみましょう。
お客様だけで注文が完結するセルフオーダーシステムは、店員を呼んだり待ったりする時間を省略できます。セルフオーダーはテーブルに設置したタブレットから注文するほか、入り口に券売機を設置する方法があります。また近年では、QRコードをお客様のスマホで読み取ってスマホからオーダーしてもらうQRオーダーを導入する飲食店も増えました。
そのほか、会計時にキャッシュレス決済を導入するのがおすすめです。金銭でやりとりするよりも、よりスピーディに会計処理できます。
料理の提供時間の改善をする
料理の提供時間も滞在時間に影響する要素のひとつです。料理の提供に10分、20分とかかっているとそれだけで回転率が悪くなります。料理の提供時間は、以下に取り組むことで時間を短縮できます。
- ピーク時以外の時間帯を利用して料理の仕込みをしっかりしておく
- 調理スタッフの教育に力を入れてスキル向上を図る
- だれでも同じクオリティの料理を作れるようにオペレーションやマニュアルを工夫する
メニューの見直しをする
お客様が注文のときに悩まなくてすむように、メニューの見直しも必要です。メニューのカテゴリー分けや写真掲載でわかりやすくしたり、おすすめメニューを打ち出したりして、オーダーまでの時間を短縮します。反対に、わかりにくいメニュー表はオーダーまでに時間をかける原因です。
また、メニュー数を絞るということもひとつの方法です。たとえば、夜は居酒屋やイタリアンなどの形態の飲食店がランチ営業をおこなう場合は、定食やパスタセットなどとメニューを絞っておきます。お客様がメニューに迷う時間を削減でき、ランチタイムの回転率を上げられます。
時間に関するルールを設定する
滞在時間に関するルールを設けておくことも大切です。たとえば、カフェでドリンクだけを注文して長時間滞在するケースや、並んでいる人がいるのに追加注文もなく退席してくれないといったケースも起こり得ます。このようなケースが多発すると、お店の売上を低下させる原因となってしまいます。そのため、「ドリンクだけの注文の場合は60分まで」、「混雑した場合は2時間制」といったルールを設定し、テーブルへの掲示と来店のときにお伝えするのが得策です。
クラウドカメラで滞在時間を最適化しよう
飲食店は、お客様の滞在時間をいかにコントロールできるかがお店の売上を左右します。とくに客単価の少ない飲食店やピークタイムは、なるべく滞在時間を短くして回転率を上げる対策が必要です。滞在時間を最適化するポイントをいくつか紹介しましたが、まずは店舗の状況を正確に把握したうえで必要となる対策を講じていきましょう。
飲食店にクラウドカメラを導入することで、来店数のカウントや滞在時間の計測が自動化されるため効率よくデータ抽出ができます。カメラ映像をチェックして接客やオペレーションの改善、トラブル時の確認、もちろん夜間や休日などの防犯対策にも活用できます。クラウドカメラはさまざまな観点から、飲食店の店舗管理をサポートします。
セーフィーは、映像ソリューションを提供している会社です。クラウドカメラの導入は、飲食店のさまざまな悩みを解決できる有効な方法です。飲食店様への導入事例も多数あるため、ぜひご相談ください。
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