自遊空間に学ぶ「無人店舗運営」の最前線

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全国で複合型インターネットカフェ「スペースクリエイト 自遊空間」を運営する株式会社ランシステムさまは、様々なシステムを活用して店舗の無人化・省人化運営をしています。今でこそDXが各業界でトレンドとなっていますが、自遊空間の省人化の始まりは、2007年の高田馬場店のオープンにまでさかのぼります。以来、2018年の完全無人オペレーション店舗の実現を経て、いまでは全国116店舗の自遊空間でさらなる無人化・省人化を進められています。

本記事では、株式会社ランシステムさまにご登壇いただいた【自遊空間で実現した店舗無人化 〜27店舗を3人で運営する秘訣とは〜】と題したセッションより、内容と資料を抜粋しながら、無人店舗運営の手法と効果について詳しくご紹介します。

店舗運営の無人化・省人化を進めるべき理由

総務省などの推計によると、少子高齢化が進む日本では、2025年には505万人、2030年には644万人分の人手不足に陥るとされています。さらに驚くべきことに、この644万人分のうち、実に400万人分の人手不足がサービス業界において発生すると見込まれているのです。

対策として、女性や高齢者、外国人の方々を働き手として増やしていったとしても、約300万人の人手不足が推定されています。また、実質賃金も上昇していき、2030年には時給2000円を超えると言われています。

その結果、企業は生産性の向上に取り組みながら、採用経費や賃金など販売管理費の増加にも対処しなければならない状況となります。

さらに、ここ数年の新型コロナウイルス感染症の大流行を受けて、感染症対策としての無人化や省人化の動きも加速しました。ぜひともこの流れを利用して、迫り来る人手不足の時代を見据えた店舗の無人化・省人化を進めていくべきでしょう。

店内の業務プロセスをシステム活用でセルフ化

自遊空間では、店内の業務プロセスを次に挙げるシステムを活用することによって、お客さまのセルフ利用や、店舗の無人化・省人化運営を実現しています。

自遊空間の無人化を実現するソリューション

  • ・無人入会システム
  • ・セルフ入場システム
  • ・QR鍵システム
  • ・セルフ移動システム
  • ・セルフ精算システム
  • ・遠隔接客RURA
  • ・Safieのクラウド防犯カメラ
  • ・清掃解除システム

目的別のシステムをお客さま自身に操作してもらうことで、入会手続きも含めて、入場から精算まですべての手続きをセルフ化しています。

無人化ソリューションを活用した実際の店舗での運用方法

お客さまが来店され、セルフ入場システムで手続きを行うと、使い捨てQRコードのついたレシートが発行され、お客さまはこれを鍵にして店内に入ることができます。

入店後に席を移動する場合やシャワーを利用する場合は、セルフ移動システムを使います。退店時には、セルフ精算システムを使って料金を支払うという流れです。

もちろん、お客さまが何かで困った場合のサポート体制も万全です。自遊空間では、カメラを介した遠隔接客サービス「RURA」を通して、リモートサービスデスクのオペレーターが24時間体制で対応しています。

例えば鍵を持たずに個室から出てしまったお客さまがいる場合、本人確認をした上で、オペレーターが遠隔から個室のドアを開錠します。忘れ物をしたお客さまが戻ってきた場合も同じように即座に対応できるようになっています。

無人化・省人化運営を支えるリモートサービスデスクの裏側

店舗とは別の場所にあるリモートサービスデスクでは、Safieカメラで店舗内各所の映像を確認しながら、接客中の店舗の情報などをすぐに確認できる環境が整備されています。

そして、遠隔接客サービス「RURA」の接客画面では、1つの店舗だけでなく複数の店舗の状況をリアルタイムで把握できます。

遠隔接客サービス「RURA」の活用ポイント

ここからは自遊空間で実際に活用している遠隔接客サービス「RURA」の活用ポイントをご紹介します。


※遠隔接客サービス「RURA」のサービスページはこちらからご確認いただけます。

クラウド型防犯カメラ「Safie(セーフィー)」の活用ポイント

さらに、自遊空間で実際に活用しているクラウド型防犯カメラ「Safie」の活用ポイントをご紹介します。

リモート対応できない部分の仕組み

自遊空間では、このようにさまざまな無人化システムを駆使し、27店舗を平均3名のオペレーターで運営していますが、リモートサービスデスクのオペレーター以外には、清掃やドリンクの補充、現金作業など、店舗で必要な作業に対応するスタッフを現地に配置しています。

無人化ソリューションの一つ「清掃解除システム」は、モバイル端末に搭載されており、現地にいるスタッフはこれを使って清掃場所の確認と完了処理をします。他にも、無人入会システムで入会手続きをしたお客さまに対し、身分証を見て本人確認を行うスタッフも現地にいます。

リモートでは対応できない業務のために最低限の人員を配置しておく必要はありますが、以前の店舗運営と比べると、劇的な省人化が実現しています。

ここから先は、その具体的な効果を見ていきましょう。

無人化・省人化運営による実際の効果

無人化・省人化への段階的な運営変遷

上で挙げたようなセルフ手続きの全てを、以前の自遊空間ではスタッフが店舗で行っていました。それが、2015年に自動精算機やセルフ入場機の導入によってセミセルフ運営が始まり、2020年には有人カウンターを廃止して完全セルフ運営へと移行しています。

そして2021年7月からはリモート接客システムを導入し、業務の少ない時間帯にはスタッフを1人も置かない完全無人運営が実現しています。

このように無人化を進めてスタッフの数を削減したことで、劇的な人件費の削減が実現しました。

店舗の無人化・省人化による経費削減効果

当初の非セルフ式運営方法では、100席規模の都内店舗で毎月の人件費が250万円かかっていました。これに対し、セミセルフ運営にすることで毎月の人件費を169万円まで下げることに成功し、完全無人運営ではわずか55万円で済むまでに効果が出ました。

一方で、無人化・省人化には、改装工事やシステム導入が必要になり、資料に掲載している規模の店舗であれば、合計1,400万円ほどの初期投資がかかっています。

とはいえ、セミセルフ運営の場合でも毎月81万円の人件費を削減できるため、18ヶ月ほどで初期投資を回収できることになります。完全無人運営ならば、人件費削減効果は毎月195万円にのぼるため、わずか8カ月で初期投資を回収できます。

経済的な効果以外にも生まれている喜ばしい変化

既に触れたように、自遊空間では27店舗を平均3名のオペレーターで運営できる体制となっています。熟練のオペレーターが効率よく全国の店舗を遠隔から対応することで、結果的に提供サービスの品質が向上しました。

また、遠隔サービスデスクでは対応履歴を一元管理しているため、問い合わせの多い内容が現場の課題として可視化され、無人化前に比べて速やかに対応できるようになりました。店舗内の状況はクラウドカメラで常に把握できるため、気になることがある時にはすぐに確認して、業務改善に繋げることができています。

店舗やサービスの無人化・省人化の進め方

ここまで詳しく紹介したように、店舗を無人化し、最少人数で運営することで得られる効果は人件費の削減だけにとどまりません。社会全体でDXの流れが加速している今、コワーキングスペースやカラオケ、ホテル、レンタルスタジオなどでも無人化が広がりつつあります。

特に地方部においては、すでに人材の確保が難しくなり始めています。株式会社ランシステムさまでは、この記事で紹介した自社の無人化・省人化運営のノウハウを活かして、無人化ソリューションをカスタマイズして外販するサービスも展開しています。

こちらの無人化ソリューションは、全機能を導入しなければいけないわけではなく、一部の機能から導入が可能となっております。ご興味のある方は、ぜひ一度サービスページをご覧ください。

無人化運営というと敷居が高く感じるかもしれませんが、自遊空間の無人化が10年以上をかけて段階的に進んできたのと同じように、まずは導入しやすいツールを使って、徐々に省人化・無人化を進めていきましょう。

自遊空間で活用されている無人化ソリューションやクラウド型防犯カメラ「Safie」、遠隔接客サービス「RURA」のように、導入の手間が少ないツールは省人化の第一歩としてうってつけです。この機会に、店舗のニーズに合った製品やサービスを見つけて、無人化・省人化への一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

※2022年7月29日共催のウェビナー【無人化・省人化を実現する店舗DX】へご登壇いただいた際のセッションの内容となります。


(製品情報)

・人手不足に対応!「無人化ソリューションパッケージ

・遠隔接客サービス「RURA

・クラウド録画サービス「Safie

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