レジの稼働台数はバックヤードからリアルタイムで判断&インカムで指示出し。店舗内のスタッフ配置を最適化
—カメラの映像はレジ周辺の対応で使うことが多いのでしょうか?
松木店長:そうですね。導入のきっかけがコロナ禍での密回避の状況確認のためということで、レジ前でなるべくお客さまをお待たせしないために使っています。
—具体的にはどう運用されているのでしょうか?
松木店長:店長の日常業務としては、バックヤードでメールの確認や売り上げ確認などの作業があります。そういう作業をしながら目の前にカメラ映像を映しておいて、いつでも店内の様子が見えるようにしているんです。
店舗では、POSレジとカメラが連動していて、レジが混雑、つまり一定時間内に一定数のお客さまがレジを通過すると、通知が映像と一緒に来るようになっています。通知が来たら実際のレジの状況を映像で確認して、応援スタッフを送るかどうかの判断をしています。
—バックヤードにいながらレジ周辺の状況を判断、指示出しまでされているんですね。現在のフローになる前はどう対応されていたんですか?
松木店長:私が定期的に売り場を巡回してレジの状況を把握するか、レジのスタッフが自分で応援を呼ぶことが多かったです。でも、どのくらい混雑したら応援を呼ぶか、という判断はスタッフによって違っていたりして、結果的にお客様をお待たせしてしまうこともありました。
これまでピークタイムは無条件にレジを3台稼働させていたんですが、今はレジを2人体制にして、バックヤードで映像を確認しながら適宜フォローしています。混んで来たらレジスタッフを3人に増やすといったように、柔軟にスタッフを配置していますね。
—レジ周辺以外の業務でカメラ映像を使うことはありますか?
松木店長:木材カットの窓口や金物のコーナーにはお客さまがスタッフを呼び出せるボタンがついていて、それが押されるとインカムに呼び出し音が入ってくるんですが、お客さまの元にスタッフが到着したかどうかを映像で確認しています。誰も対応できていなければ、どなたか行けますかとインカムで聞いて、フォローに入ってもらうことができますよね。このような接客業務で非常に助かっています。
店舗内のスタッフやお客さまの動線を把握し、提供サービスの品質を向上
—お客さまの様子だけでなく、スタッフの動線も確認できることが店舗業務の改善につながっているとも伺いました
松木店長:スタッフの動線が俯瞰で見えるので、店長としては本当に助かりますね。例えば、新人スタッフがレジに入る時、私がずっとついているわけにもいきませんが、バックヤードで他の仕事をしながら映像を確認しているので、サポートができます。困っても応援を呼べない方もいるので、何かあった場合やレジが滞っている場合にはこちらから応援スタッフを送ることができる。
他にも、木材カット対応でずいぶん時間がかかっていたら、後からそのスタッフにどういう状況だったのか聞いたりします。どんな要望だったのかをスタッフから聞いて、次からどう対応すべきかアドバイスしたりしています。
—リアルタイムでのカメラ活用の好例ですね。逆に、カメラの録画映像を振り返って、業務に役立てるケースもあるんでしょうか
松木店長:例えば急に職人の方しか買われないような高額な商品が売れた場合、購入された時間の映像を確認すれば、どんな方が買っていかれたのかがわかります。
もし接客している様子が映っていれば、接客したスタッフにヒアリングをして、どんなことをおっしゃっていたかを把握できる場合もあります。こういうものがあったらもっとよかったというような話があれば、品揃えも少し考慮しないといけないかもしれませんので、どういったお客さまがどういった商品を買っているのかということは我々にとっては必要な情報だと思います。
—DXのイメージとは少し離れた意外なところでも、カメラが効果を発揮していると聞きました
松木店長:意外と役に立っているのは、忘れ物関係ですね。レジ周りで忘れ物が結構あるんですが、お客さまからバッグを忘れたと電話がかかって来て、その時間帯の映像を見てみるとちゃんと脇に挟んで店から出て行くところが映っていることも。そうすると、少なくともここでは忘れていないとお伝えできます。
売場全体を常に俯瞰で見ることで、販売機会ロスを防ぐ
—グッデイ姪浜店では1階と2階に出入口がありますが、週末などは2階の出口から帰るお客様が増えるそうですね
松木店長:2階のエレベーター付近のカート置き場がカメラで見えるんですが、週末になると2階から帰られるお客様が多いので、カートがたまってくるんですよね。カメラで確認してカートがたまっていたら、2階のカートを1階に戻すよう指示を出せます。
カメラの映像を活用して本当に無駄なく全員が動けるので、すごく助かっています。さらに、映像を見て初めて気付いたこともありました。
—初めて気づいたこと?
レジに並ぶお客様の誘導についてです。足元にシールを貼っていたんですが、お客様はなんとなく別の方向に並んでしまっていて、そこに来た方とぶつかって苦情が来たこともあったんですシールのとおりに並んでくれるだろうと思っていたんですが、実際には全然そうなっていなくて。どういう状況の時にそうなってしまうか、カメラで見て把握することができました。
同じように、園芸コーナーでもお客様の列が他のお客様の邪魔になっていることがわかって、誘導するための系統を作る必要に気付いたこともあります。
—店舗内での売り上げに関わる効果も生まれているのでしょうか?
松木店長:あると思います。例えば、リフォームコーナーを長時間見られているお客さまがいる場合、何か相談ごとがあるかもしれませんよね。ずっと同じところを見ているお客さまがいると思ったら、お声がけしてみるようにスタッフに指示を出すんです。それでお声がけをしたところ、実際に受注につながりました。
松木店長:また、特に一番目につく売り場などでは、陳列状況をカメラで確認してすぐに手直しの指示を出せるので、機会損失を防ぐことができているのではないかと思います。
店舗内の映像データを介した意思決定の積み重ねが、業務効率化と顧客体験の向上を実現していく
—これまでお話いただいた個別事例での有用さを超えて、店舗運営全般でDXの効果を実感されている部分はありますか?
松木店長:カメラで解決することもずいぶん多いので、他の業務に時間を割けるようになりました。姪浜店はまだ新しい店舗で、今からいい文化を作っていかないといけないので、やはり店舗スタッフの教育は非常に重要になってきます。
これまでは店舗に出ていることが多く多忙で時間が割けませんでしたが、カメラで業務効率化ができている分、きめの細かいフォローがしやすくなったと思います。お店にはたくさんのスタッフがいますが、カメラのおかげでそれぞれの仕事ぶりもわかります。スタッフ全体のレベルを上げていくことで、店舗全体が良くなっていく。そういったところですごく役に立ちます。
教育という点では、他の店舗の映像も見ていきたいと思っています。他の店舗が売り場をどうしているか見ることもすごく役に立つと思いますし、接客が上手な人が映っていたらそれも自店での教育に活用できそうです。
—ここまでに色々な成果を教えていただきましたが、改めてカメラについてどう思いますか?
松木店長:正直に言うと、もっとたくさんあってもいいですね。例えば観葉植物の売り場などは、維持していくのがなかなか大変なんです。植物の仕入れ担当と連携しながら、必要な分をキープしてもらう必要がありますし、社長からももっとボリュームを出してジャングルのような感じにして欲しいと言われています。観葉植物の売り場にさらにカメラを何台か設置して、仕入れ担当がいろんな角度から売り場を確認できれば、現地に来てもらわなくてもどこに何を置こうか検討してもらえますよね。仕入れ担当は1人で50店舗を担当しているので、物理的に移動しなくてもオンラインで完結出来れば、売り場の維持がやりやすくなるように思います。
松木店長がお話ししてくださったとおり、より多くのカメラを活用すれば、さらに効果的な売り場づくりが可能になりそうです。このように、DXの最先端を走り続けている株式会社グッデイさまは、2016年からデータドリブン経営に舵を切り、5年間で売上25%アップという驚くべき急成長を実現しています。
グッデイ姪浜店での数々の事例から、カメラの映像データを介した意思決定の積み重ねが、業務の効率化や顧客体験の向上、ひいては売り上げの拡大につながっていることを実感していただけたのではないでしょうか。
DXは敷居が高いと感じている人もいるかもしれませんが、既存の防犯カメラをセーフィーのクラウドカメラに置き換えるという、ごく簡単な一歩から始めることができます。
グッデイさまの映像データ活用、さらにデータドリブン経営についてもっと知りたい方は、柳瀬さま(株式会社グッデイ 代表取締役社長)とのこちらの対談動画をぜひご覧ください。また、グッデイさまのような店舗マネジメントのコツについては、実践的なアイデアを集めたこちらの動画もぜひご活用ください。
※掲載内容は2022年9月に実施したインタビュー当時のものです。