ひとり歩き(徘徊)は、認知症の方によく見られる行動の1つです。老人ホーム入居者の方々のひとり歩き対策(徘徊対策)を考える際には、その方の尊厳を尊重しながら安全を確保する工夫が大切です。
本記事では、認知症の方がひとり歩きをする背景や理由、安全に見守るための効果的な支援ツールを紹介します。老人ホームでのひとり歩き対策を見直したいご担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
認知症の方がひとり歩きをする理由
認知症の方がひとり歩きをする背景には、さまざまな理由があります。その理由を理解することで、その方の気持ちに寄り添いながら、安全を守る支援ができるようになります。なぜ認知症の方はひとり歩きをするのか、詳しく解説します。
なお、認知症の方の尊厳を尊重し、行動の意味・背景を理解する姿勢を大切にするため、本記事では「徘徊」という言葉を「ひとり歩き」や「外出(中)」と表現し、「徘徊対策」を「ひとり歩き対策」と表現しています。
道に迷ってしまう
自分の家を探しているうちに方向感覚がわからなくなり、結果として行き先がわからなくなるケースがあります。このように場所がわからなくなる状況は、屋外だけでなく、介護施設や老人ホーム内でも起こります。トイレや食堂などの場所がわからなくなり、探し歩くことがあります。
安心できる居場所を探している
「ここは自分のいる場所ではない」と感じ、安心できる居場所を探そうとすることがあります。記憶や認知の変化により、周囲の環境や人に違和感を覚えることがあるためです。その結果、施設や自宅にいても落ち着かない気持ちになり、安心できる場所を探してひとり歩きをすることがあります。
過去の習慣を再現しようとする
長年続けてきた習慣や、大切な記憶に基づいて行動することがあります。たとえば、以前住んでいた家に向かおうとしたり、毎日決まった時間に行っていた散歩に出かけようとしたりします。
ひとり歩きの安全を確保するための工夫
認知症の方の安全な生活をサポートするには、環境やコミュニケーションの工夫が大切です。ご本人の尊厳と自由を尊重しながら、安心して過ごせる環境づくりを心がけましょう。本章では、具体的な工夫について紹介していきます。
玄関やドアにお知らせ機能を設ける
玄関やドアにベルやセンサーを設置すると、ご本人が外出する際に気づくことができます。これにより、ご本人が外出する意図を理解し、必要に応じて声をかけたり、同行したりするなど、適切なサポートが可能になります。
場所がわかりやすくなる環境づくりを行う
壁やドアには、わかりやすい目印や案内表示をつけると良いでしょう。場所がわからず不安になることが、ひとり歩きのきっかけになる場合もあるためです。トイレ・リビング・居室などのドアに、絵や写真とともに目印や案内表示をつけると、ご自分で必要な場所を見つけられるきっかけになります。
心地よい生活リズムを大切にする
適度な運動や活動的な時間を設けることで、心身ともに充実した毎日を過ごせる可能性が高まります。体調不良や不眠が不安を引き起こすこともあるため、心地よい生活リズムを整えることを大切にしましょう。
たとえば、朝は自然光を浴びて体内時計を整えたり、日中は趣味活動・役割のある活動に参加したりすることで、生きがいや達成感を感じられる環境づくりを行います。ご本人の好みを理解し、その方らしく過ごせる時間を大切にすることが、安心につながります。
老人ホームで利用される見守り支援ツールと工夫の例
認知症の方の安全な暮らしをサポートするために、さまざまな見守り支援ツールがあります。これらのツールは、ご本人の尊厳と自由を尊重しながら安全に配慮した見守りに役立つため、ぜひ参考にしてください。
見守りカメラ
見守りカメラは、老人ホーム入居者の方々の安全を見守るためのツールとして活用できます。共用スペースや出入り口など、適切な場所に設置することで、離れた場所からでもご本人の様子を確認し、必要に応じたサポートにつなげることができます。
こうしたカメラには検知機能が搭載されているものもあり、特定のエリアでの動きを検知して通知を受けられます。また、双方向通話機能があれば、離れた場所からも声をかけることができ、安心感を提供できます。おすすめは、映像をリアルタイムで確認できるクラウド型の見守りカメラです(詳細は後述します)。
なお、人が写り込む画角での防犯カメラの設置・運用開始には、個人情報保護法等の関係法令の遵守に加え、写り込む人々、写り込む可能性のある人々のプライバシーへの配慮が求められます。防犯カメラとプライバシーの関係については、こちらの記事で詳しく解説しています。
離床センサー
離床センサーは、主にベッド周辺での転倒予防や安全確認に役立ちます。複数の種類があり、代表的なものとしては、ベッドからの起き上がりの動作を検知するベッドセンサーや、枕の下に敷くピローセンサーなどがあります。
安全な見守りをサポートするには、ベッド横に設置する超音波・赤外線センサーや、床に敷いて荷重を検知するマットセンサーが便利です。これらのセンサーをベッド周辺や部屋の出入り口に設置することで、夜間など、ご本人がベッドから離れる際にお知らせを受け取り、必要なサポートをタイミングよく提供できます。
ただし、マットセンサーは訪問者や施設職員が踏んだ際にも通知される場合があるため、使用方法や設置場所を工夫する必要があります。
位置確認ツール
GPS機能を持つ位置確認ツールは、ご本人とご家族の同意のもとで活用することで、もしも外出中に道に迷ってしまった場合の安全確保に役立ちます。万一の場合に早く安全に居場所を確認できれば、事故などの危険から守ることができます。
ただし、常に位置情報を把握することはプライバシーに関わることですので、その方の尊厳を守る観点から、目的と使用方法について十分な説明と同意を得ることが不可欠です。
(補助的な対策として)連絡先情報の記載
ご本人とご家族の同意を得た上で、普段お使いの衣類や持ち物の目立たない場所に、名前と連絡先を記した情報を付けておくことも1つの方法です。これは、もしも外出中に道に迷ってしまった場合、早く安全に戻れるためのサポートになります。
ただし、連絡先情報を付ける際はご本人の尊厳を尊重し、目立たない場所に配置するなどの配慮が必要です。
老人ホームでの安全な見守りにはSafieがおすすめ
ひとり歩きの安全確保に見守りカメラを活用する場合、「Safie(セーフィー)」がおすすめです。
Safieは、インターネットを介してカメラ映像がクラウド上に保存される、クラウド型の見守りカメラを提供しています。「映像がきれい」「設定が簡単」「使いやすい」点に特長があり、昼間の見守りはもちろん、夜間や光が少ない時間帯の見守りにも役立ちます。
映像はリアルタイムで確認できるため、職員の目が届きにくい時間帯などに、安全確認をサポートします。離床・転倒・外出の動きなどを見守る際に、職員の負担軽減だけでなく、ご本人とご家族に安心感を提供できるでしょう。
見守り支援に最適な「Safie One」
老人ホーム入居者の方々の安全な見守りに役立つカメラを探しているなら、おすすめは「Safie One(セーフィーワン)」です。
Safie Oneには、周囲の明るさを自動で判別し、昼夜を問わずクリアな映像を撮影できるナイトビジョン(デイナイト)機能や、逆光などでも鮮明な映像を撮影できるWDR(ワイドダイナミックレンジ)機能が搭載されています。西日がまぶしい時間帯や薄暗い時間帯など、自動的に補正して撮影されます。
また、AIによる人検知機能が標準搭載されており、あらかじめ検知エリアを設定しておくことで、そのエリアに人が立ち入った際に通知を受けられます。この機能により、夜間のベッドからの立ち上がりなどにも早く気づき、必要なサポートにつなげられます。
加えて、双方向通話機能が備わっているのも特長です。内蔵マイク・スピーカーやBluetoothスピーカーを使用して会話が可能なため、ご本人の様子に気づいた職員が、「いま伺います」などと声をかけることもできます。

Safie
Safie One
エッジAIを搭載。画像解析による業務効率化も叶えるカメラ
¥50,600 (税込)
外形 | φ76.5×92.5mm |
重さ | 360g |
防水性能 | なし |
ネットワーク接続 | 有線LAN、無線LAN |
PoE給電 | 対応 |
画角 | 水平114° 垂直60° |
ズーム | デジタルズーム 最大8倍 |
マイク(音声入力) | あり |
スピーカー(音声出力) | あり |
暗所撮影 | 対応 |
▼介護業界×Safieの詳しい活用方法は、以下のページで詳しく紹介しています。
介護施設で見守りカメラが導入された事例
最後に、介護施設で見守りカメラが導入された事例を紹介します。
在宅医療・介護を中心に事業展開している「HYUGA PRIMARY CARE株式会社」では、運営する老人ホームに、入居者の方々の見守りや防犯目的でSafieのカメラを導入しています。
転倒やひとり歩きなどの際に、前後の経緯を正しく把握できること、設置が容易で大掛かりな工事がいらなかったことが導入の決め手です。
カメラはメインエントランスと通用口、館内の共用部に計14台設置しています。映像を常時モニタリングするのではなく、何かあった際に録画映像を振り返る使い方をメインとしています。
カメラの導入によって、施設のセキュリティが強化されただけでなく、ひとり歩きや外出時にも映像で状況を確認できる体制が整った、とのこと。「大切なご家族をお預かりしている場としては、非常に心強く思っている」と、喜びの声を寄せています。
※事例内容は2024年1月のインタビュー当時のものです。
ひとり歩き対策にはご本人の尊厳と安全を両立する見守りが重要
認知症の方のひとり歩きは、記憶や認識の変化から生じる、その方なりの理由と目的のある行動です。制限するのではなく、その方の思いを理解しながら安全を確保することが大切です。
ひとり歩きを通じて表現されている「帰りたい」「探したい」「何かしたい」というご本人の思いに耳を傾け、その気持ちに寄り添いながら安全を確保する姿勢が、ご本人の安心と信頼につながります。
本記事でご紹介した工夫や見守り支援ツールを活用し、ご本人の自立を尊重しながら安全を確保する取り組みを進めてみてください。尊厳を大切にしながら安全を確保する見守りを行うことで、ご本人に安心のある暮らしを提供できるでしょう。
- 介護業界向けクラウドカメラ活用ガイド
- 利用者”も“その家族”も“スタッフ”も笑顔でいるための事例を紹介。課題に合った活用方法についてお気軽にご相談ください。
※ セーフィーは「セーフィー データ憲章」に基づき、カメラの利用目的別通知の必要性から、設置事業者への依頼や運用整備を逐次行っております。
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