介護問題の解決策とは?老老介護や虐待問題などの原因も解説

介護問題の解決策とは? 原因や解決策

介護業界では、人口減少や高齢者の増加によりさまざまな問題が生じています。とくに、業界全体の人手不足は大きな問題です。昨今は人手不足の問題解決に、多くの現場でICTの導入を進めています。

本記事では介護問題の内容や解決策を解説します。さらにICT化のひとつであるクラウドカメラを導入した事例を詳しく紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

介護問題を引き起こす2つの原因

日本では少子高齢化が進行しており、さまざまな介護問題を引き起こしています。とくに人口減少と高齢者の増加は、解決すべき喫緊の課題です。ここでは、2つの問題を解説します。

人口減少

厚生労働省の「我が国の人口について(※1)」によると、日本の人口は減少傾向にあります。2020年の総人口は12,615万人ですが、2070年には総人口が9,000万人を割り込むと予想されています

また、生産年齢人口といわれる15〜64歳の割合は、2020年には59.5%ですが、2070年には52.1%まで落ち込むことも推測されています。生産活動の中心となる人口の割合が減少することで、比例して介護に従事する人口も減る可能性があります。

出生率が上がらないかぎり、今後も人口の増加は見込めません。しかし、日本の2023年の出生率は1.20%と、他諸国と比べると最低水準で推移しており、人口増加は期待できない状況です。

高齢者の増加

先に述べたように、日本の人口は減少していくことが見込まれているものの、一方で高齢者の数は増加し続けることも予想されています。団塊の世代がすべて75歳となる2025年には、総人口に対する75歳以上の割合は約18%を占めることが推計されています(※1)。

人口が1億人を割り込むと予想されている2070年には、高齢者の割合は39%の水準に達するとの予想もあり、高齢者が増加するにつれて介護サービスの需要も増えていくことが想定されます。しかしながら、このままいくと介護需要に応えられる人口は減り続ける可能性が高いでしょう。

代表的な6つの介護問題

代表的な介護問題は、次の6つです。

  • 人手不足
  • 介護難民の増加
  • 老老介護と認認介護
  • 高齢者の虐待
  • 高齢者の孤立化
  • 成年後見人トラブル

それぞれの問題について詳しく解説します。

人手不足

介護業界の人手不足は深刻な問題といえます。少子化によって労働人口が減少しており、介護の担い手が減っているのは上述したとおりです。

厚生労働省によると、2025年度における介護職員の必要数は約243万人とあり、2040年度では約280万人と算出されています(※2)。

実際、2019年度の介護職員数は約211万人ですが、この数値との差は2025年には約32万人(約243万‐約211万)、2040年には約69万人(約280万‐約211万)です。これは、2019年から2025年までに32万人の職員数が、2040年までに約69万人の職員数の増加が必要ということを意味しています。

試算のような職員増加が見込めない場合、必要な介護ニーズに応えられないばかりか、介護施設を維持するのも困難となるでしょう

人手不足は、介護業界で働く職員の給与や待遇が、仕事の内容に対して割に合わないことが要因と考えられています。

介護業界は介護保険制度によって給料の上限が決まっており、これが大きな課題となっています。一般企業では、通常、勤める期間に比例して徐々に給料が上がっていくことが多いです。しかし介護業界は、上限に達すると、それ以上給料を上げるのは難しいのが現状です。

また労働環境も過酷で、ほかの業種に比べてハードといわざるをえません。食事や排泄のケア、衣服の着脱など、業務内容は多岐にわたります。介護施設では夜勤も含まれるため、生活習慣のバランスも乱れがちです。

給与や待遇に納得いかず職員が離職すると、残った職員にさらに負担がかかるといった悪循環に悩む介護施設は少なくありません。

介護難民の増加

介護難民の増加も、介護問題のひとつです。「介護難民」とは、介護が必要であるにもかかわらず、必要な介護サービスを受けられない人のことです。介護できる家族がいなかったり、身近に利用できるサービスがなかったりして、必要な介護を受けられない高齢者は少なくありません。

先に述べたとおり、人手不足が解消されないかぎり、介護難民はさらに増えていくことでしょう。

介護難民は、介護のために仕事を辞めざるを得ない「介護離職」を招きます。労働人口が減少しているなか、介護離職が増加すれば、労働人口のさらなる減少に拍車をかけることになりかねません。また、介護を担う家族が仕事を辞めることで、経済的・精神的な負担を強いられるのも大きな課題です。

老老介護と認認介護

老老介護と認認介護も、介護問題のひとつです。「老老介護」とは、高齢者が高齢者を介護する状態を指します。また「認認介護」とは、認知症患者が認知症患者を介護することです。

老老介護と認認介護は、人手不足が直接的な要因ですが、医療技術の進歩もひとつの要因でしょう。医療の進歩により平均寿命が伸び、夫婦や子どもがともに高齢になる家族が増えているのです。

認知症の親を介護している子どもが認知症になれば、認認介護につながります。核家族が増え、介護を担う家族の数自体が減っていることも要因です。

高齢者の虐待

高齢者の虐待も、大きな問題です。介護施設や家庭内で、高齢者が虐待を受けるといったニュースを目にする人は少なくないでしょう。虐待というと身体的な暴力を思い浮かべる人が多いですが、次のような行動のすべてが虐待です。

  • 言動による心理的虐待
  • 暴力行為による身体的虐待
  • 介護の放任・放棄
  • 性的虐待
  • 経済的虐待

厚生労働省の「高齢者虐待の実態把握等のための調査研究事業(※3)」調査によると、高齢者の虐待は増加傾向にあります。介護に疲れた家族が暴力を振るったり、介護自体を放棄したりするケースは少なくありません。

介護施設でも、虐待は生じています。介護施設で虐待が生じるのは、仕事のストレスだけでなく、職場の人間関係の悪化や人手不足による多忙さも原因です。介護施設で虐待が生じたときは、さまざまな観点からアプローチする必要があります。

高齢者の孤立化

介護問題のひとつは、高齢者の孤立化です。内閣府の「高齢者白書(※4)」によると、65歳以上のひとり暮らしは増加傾向にあります。1980年における65歳以上のひとり暮らし率は、男性は4.3%、女性は11.2%でしたが、2020年には男性が15.0%、女性は22.1%と増加しています。今後、この数値はさらに高くなると予想されています。

高齢者の孤立化がもたらす問題は、次のとおりです。

  • 生きがいの低下
  • 消費者被害
  • 犯罪
  • 孤独死

孤立化した高齢者は、ほかの人と話す機会が減り、生きがいをなくしたり生活に不安を覚えたりと生活の質が下がります。問題が生じても誰にも相談できず、問題が大きくなりがちです。高齢者の孤立化は、そのまま孤独死につながりかねません。

高齢者を孤立させないためには、地域における取り組みが必要です。地域の自治会や学校、企業、NPO等が協力しあい、幅広い受け皿を用意することが求められます

成年後見人トラブル

成年後見人トラブルも介護問題のひとつです。成年後見人とは、成年後見制度に基づき、認知症や精神障害、知的障害などさまざまな理由で判断能力が低下し、法律行為を行うことが不可能な人や困難な人に代わって法律行為を行う人のことです

成年後見人は、高齢者や要介護者に代わって財産上の利益を保護する立場の人ですが、昨今は権限を乱用するケースが少なくありません。成年後見人はその立場を使って、不動産の売買や保険の解約などの手続きが可能です。親族が成年後見人となると、遺産相続問題に発展する場合もあります。

成年後見人を立てるときは、法律の専門家に相談することが重要です。

介護問題に対する3つの解決策

介護問題に対して、さまざまなアプローチが取られていますが、解決策としては次の3つが効果的です。

  • 多様な人材の採用
  • 介護施設における働き方改革
  • ICTツールの活用

それぞれの解決策を説明します。

多様な人材の採用

介護問題の解決策のひとつは、多様な人材を採用することです。労働人口が減少しているなか、人手不足を解消することは容易ではありません。しかし、外国人を採用することで足りない人員をカバーすることも可能でしょう

EPA(経済連携協定)による外国人介護人材受入れの仕組みを活用し、たとえばフィリピンやベトナムから一定の専門性や技術を有する人材を受け入れれば、人手不足解消につながるでしょう。その場合は、職員同士のコミュニケーションがスムーズにいくように、外国人が働きやすい職場づくりが欠かせません。

また、正社員だけでなく契約社員・パート・アルバイトなど、幅広い業務形態で人材を確保することもひとつの手です。介護職は、未経験からでも挑戦しやすい職種です。働きながら資格を取得できるようにサポートするなど、長く働いてもらうための仕組みづくりも欠かせません。

介護施設における働き方改革

介護問題の解決のためには、介護施設における働き方改革が必須でしょう。人手不足の解消には、人材の採用と定着の2つの観点から見直しが必要です。既存の職員が離職してしまっては、残った職員が疲弊し長続きしません。

職場環境をよくするには、煩雑な業務を整理したり職員のストレスや悩みが相談できる窓口を設けたりすることが効果的です。また、業務内容にあった処遇改善も欠かせません。

ICTツールの活用

介護問題の解決に、ICTツールの活用が有用です。ICTとは、Information and Communication Technologyの略で、インターネットを介して人と人とをつなぐ技術のことを指します

介護の現場では多くの情報を扱う必要があるため、ICTツールの導入が効果的です。介護施設では、利用者の体温や血圧、脈拍など、日々の健康管理が欠かせません。従来のように情報を紙に記入するやり方では、情報の整理整頓に時間がかかります。

ICTツールを導入し、必要なデータを全職員で共有できれば、事務作業の時間の削減が可能です。ほかの業務に時間を割けるようになり、サービスの品質向上につながるでしょう。

介護の現場で役に立つICTツールには、センサー・アラートシステムや介護ロボット、クラウドカメラなどさまざまなものがあります。次章では、クラウドカメラを実際に導入した事例を紹介しましょう。

クラウドカメラを介護サービスに導入した事例

株式会社メグラスは、愛知県内で介護施設や保育園を運営している会社です。同社では、スタッフが安心して働ける職場づくりのために、Safie(セーフィー)のクラウドカメラを導入しています。

同社がクラウドカメラを導入した目的は、施設内で起きた転倒事故などの経緯確認のためでした。利用者がなぜ転倒したのか、どのように転び、どこをぶつけたのかを正確に把握するためには、クラウドカメラが必要と判断したそうです。

Safie Viewer

施設内で何が起こったのかを映像で客観的に確認できるようになり、利用者とその家族に安心感を提供できるようになったと喜んでいます。また、職員が利用者からハラスメントを受けた場合、映像をもとに利用者や家族に状況を説明することで、職員をきちんと守れるようになった、とも話しています。

同社がSafieのクラウドカメラを選んだ決め手は、有線LAN接続が利用できることと、PoE給電が可能なことでした。画質も良好で、一定範囲の音声も問題なく聞き取れ、使い勝手も非常によいと、喜びの声を寄せています。

ほかにも、個室にクラウドカメラの導入を決めた事例もあります。

ある介護施設では、もともと共用部で2台を設置していたものの、それに加えて個室への導入を決定しました。導入前は夜間職員は3人体制でしたが、クラウドカメラ導入後は宿直職員をオンコール対応に切り替え、2名体制の省人化に成功しています

この事例のように、個室にカメラを導入して映像を一括管理すれば、少ない職員でも安全を担保しながら見守ることが可能です。

介護施設への導入におすすめなクラウドカメラ「Safie One(セーフィーワン)」は、HD画質&30fpsで文字はくっきり・映像はなめらか。ナイトビジョンモードで夜間撮影もきれいです。Safie Oneは置くだけで簡単に設置できるのもポイント。壁や天井にネジ止めすることもできます。

Safie One

Safie
Safie One

エッジAIを搭載。画像解析による業務効率化も叶えるカメラ

¥41,800 (税込)

外形φ76.5×92.5mm
重さ360g
防水性能なし
ネットワーク接続有線LAN、無線LAN
PoE給電対応
画角水平114° 垂直60°
ズームデジタルズーム 最大8倍
マイク(音声入力)あり
スピーカー(音声出力)あり
暗所撮影対応

ほかにも、Safie Oneには標準機能として双方向通話機能や人検知機能が搭載されています。双方向通話機能があれば内蔵マイク・スピーカーやBluetoothスピーカーを使用して会話が可能なため、コミュニケーションツールとしても役立ちます。さらに、人だけを検知してスマートフォンなどに通知してくれる人検知機能も、介護の現場では役立つでしょう。

Safie One

介護問題のひとつの解決策は、クラウドカメラの導入!

人口減少や高齢者の増加により、さまざまな介護問題が生じています。とくに介護業界の人手不足は深刻な問題で、介護難民や老老介護、また虐待などの要因となるため、業界全体での対策が必要でしょう。

人手不足に対するひとつの解決策は、ICTツールの活用です。とくにクラウドカメラは、介護施設に適したICTツールのひとつです。映像や音声が残ることで、施設内で起こるインシデントも正確に把握できます

さらに、利用者や家族からのハラスメントから、職員を守る手立てにもなるでしょう。さまざまな介護問題の解決に、クラウドカメラの導入を検討してみてください。

介護業界向け!トラブルからスタッフを守る
介護業界向けクラウドカメラ活用ガイド
利用者”も“その家族”も“スタッフ”も笑顔でいるための事例を紹介。課題に合った活用方法についてお気軽にご相談ください。

※1 出典:“我が国の人口について”. 厚生労働省. (参照 2024-07-25)

※2 出典:“第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の将来推計等に係るセミナー”. 株式会社日本総合研究所. 2023-07-28(参照 2024-07-25)

※3 出典:“高齢者虐待の実態把握等のための調査研究事業(令和5年度)”. 厚生労働省. (参照 2024-07-25)

※4 出典:“令和4年版高齢社会白書(全体版) 第1章 高齢化の状況(第1節 3)”. 内閣府. (参照 2024-07-25)

※ セーフィーは「セーフィー データ憲章」に基づき、カメラの利用目的別通知の必要性から、設置事業者への依頼や運用整備を逐次行っております。
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