異常を未然に防ぐために、現場の設備監視が大切と気づいていながらも、人手不足や属人化、巡回の負担増といった課題に直面し、どこから手をつけるべきか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。設備監視にカメラを取り入れれば、安全性だけでなく、作業品質や教育環境の改善も可能です。
設備監視とは、工場、発電所、ビル、インフラ設備など様々な設備における機械や設備の状態を常に確認し、異常の早期発見や適切なメンテナンスにつなげる取り組みです。
本記事では特に製造業の工場における設備監視に焦点を当て、その課題と解決策を解説します。現場に行かずに設備状況を把握し、異常の早期発見や技術伝承にも活用したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
設備監視とは
設備監視とは、生産設備や機械の状態を常に確認し、異常の早期発見や適切なメンテナンスにつなげる取り組みです。工場の生産効率を高めるだけでなく、製品の品質や安全性を守るうえでも欠かせません。
工場では、設備の停止やトラブルが発生すれば、生産ライン全体の稼働に大きな影響を与えます。そのため、さまざまなシステムを活用して設備の状態を常時監視する仕組みが整えられています。システムの一例は以下のとおりです。
- 温度センサー
- 振動センサー
- カメラ 等
こうしたシステムは、遠隔からでも24時間体制で設備の様子を確認でき、万が一の異常を検知・通知することで迅速に対応できるのが特徴です。
設備監視に関わる課題と解決策

設備監視の課題は、センサーやカメラの設置環境、データの運用、現場の抵抗感などにより、導入が難しいケースがあることです。また導入後も新たな課題が発生することがあります。
ここでは設備監視の課題について、以下の観点から解決策を解説します。
- 遠隔点検の負担増への対策
- 設備データの活用不足への対策
それぞれ見ていきましょう。
遠隔点検の負担増への対策
設備監視システムを導入すると、現場に行かずに遠隔点検で設備の状態を確認できるようになりますが、これに伴い新たな負担が生じることがあります。遠隔点検で生じやすい課題は、作業負担の増加と判断の精度低下です。
現場に行かずに確認できることは効率的ですが、カメラやセンサーの運用が複雑化すると、かえって管理工数や運用コストが増える場合があります。たとえば異なるシステムの確認に時間がかかったり、映像品質の問題で現場確認が必要になったりするケースです。
こうした遠隔点検の課題に対しては、点検プロセスの自動化と正確な状況把握を可能にする設備監視の仕組みが効果的です。センサー情報と映像を連携させれば、異常時の状況を即座に把握し、必要なときだけ現場対応をおこなう判断体制を整えられます。
設備データの活用不足への対策
現場によっては設備データを十分に活用できていないケースもあります。センサーやカメラから膨大なデータを集めてはいるものの、見るだけで終わってしまい、分析や改善につながらないといった状況が少なくありません。
設備データを有効活用するコツは、映像とセンサーデータのタイムスタンプ(時刻情報)を同期させることです。たとえば、時刻を軸にグラフ+映像スライダーを並べれば、数値の変動と映像の変化を同時に確認できます。映像と数値を組み合わせると、現場で「いつ、どこで、何が、どう起きたのか」を正確に理解できるようになります。
設備監視システムでできること
センサーやカメラといった設備監視システムは、単に設備を監視するだけでなく、現場を支える仕組みです。設備監視システムでできることの具体例は以下のとおりです。
- 設備の稼働状況を一目で把握できる
- 遠隔で確認・制御できる
- 設備異常の早期発見につながる
- 定期巡回の負担を軽減できる
- 人材の育成や技術伝承に活用できる
それぞれ見ていきましょう。
設備の稼働状況を一目で把握できる
設備監視システムの強みは、設備の状態をまとめて可視化し、どこで何が起きているのかをすぐに判断できる点にあります。基本的なセンサーだけでも監視は可能ですが、カメラを導入した場合は、センサーによる温度や振動の変化に加え、視覚的に稼働・停止の状況、アラート発生の有無などが確認できるため、現場の負荷を減らしながら全体を把握可能です。
必要に応じて、個別設備のデータを詳しく確認できるのも特徴です。たとえば、ある設備に異常の兆しが出た場合は、その時点の映像を遡って確認し、実際の状況を視覚的に把握することで、落ち着いて原因を特定する手がかりを得られます。
遠隔で確認・制御できる
設備監視システムを導入すると、センサーのデータとカメラ映像を通じて、設備の状態を離れた場所から確認したり、必要に応じて遠隔で制御したりできるようになります。リアルタイム映像によって熟練者の知識や判断を他拠点で共有しやすくなり、現場に足を運ぶ回数も大幅に減らせます。結果として、品質を保ちながら効率的に作業を進められる可能性があります。
導入の最初のステップとしては、遠隔で確認できる環境を整えるのがポイントです。設備の稼働状況をリアルタイム映像で確認でき、センサーからのアラート情報と併せて確認できるようになれば、無理なく業務の手間を減らせます。
設備異常の早期発見につながる
設備監視システムを使うと、稼働データの変化だけでは見落としがちな小さな異常の兆しを、複数の情報から立体的に捉えられるようになります。センサーによる温度や振動のわずかな揺らぎ、電流値の微妙な変化などを継続的に追えば、故障につながる前段階の把握が可能です。
さらに、必要に応じてカメラ映像を組み合わせれば、数値では表れにくい挙動や外観の変化も確認できます。通常時の映像を記録しておけば、異変があったときに過去と比較しやすく、設備の挙動の違いを見分けやすくなります。
このように、データと視覚情報を組み合わせた設備監視体制を整えれば、異常の早期発見と的確な初動につながり、設備全体の安定稼働につながると考えられます。
定期巡回の負担を軽減できる
設備監視システムを取り入れると、現場をくまなく歩いて確認する必要が減り、定期巡回の回数や所要時間を大幅に削減できます。センサーが温度・振動・電流値などの変化を常時監視し、異常の兆しを自動で知らせてくれるため、問題が発生していない設備まで巡回する手間がなくなります。
必要な箇所だけを重点的に確認できる点もメリットです。たとえば、設備の状態をダッシュボードでまとめて把握し、変化が見られた場合だけ詳細を確認する、といった進め方が可能です。状況に応じてカメラ映像を組み合わせれば、現場に行かずとも設備の様子をさまざまな角度から確認できます。
巡回にかかる時間が削減されれば、作業者は設備機器のメンテナンススケジュールの決定や設備改善の検討など、別の業務に集中できます。設備監視システムは、巡回の負担を軽くしながら現場全体の生産性を高めるための有効な手段といえます。
人材の育成や技術伝承に活用できる
設備監視用のカメラは、日々の現場の状況を映像として継続的に記録できるため、人材育成や技術伝承のツールとなります。カメラ映像を通じて、設備がどのように動き、どのタイミングで調整や点検が必要になるのかといった判断の背景を、視覚的に理解しやすくなります。
カメラの映像や音声を活用すると、マニュアルや口頭説明だけでは伝えにくい動作のコツや判断の根拠をより具体的に示せます。ベテランが実際の作業をしながら、手順の理由を映像と音声で残せば、新人は作業の意味や注意点を短時間で正確に把握でき、理解のスピードは格段に上がります。
映像記録は企業にとって大切な知識資産となります。安全に保管し、アクセス権の管理や更新ルールを整えて継続的に共有していけば、世代を超えて技能を引き継げる環境が整います。
設備監視に最適なカメラ選びのポイント

設備監視に使うカメラを選ぶときは、何を見たいのか、どのような場所で使うのかを整理することが大切です。目的に合ったカメラを選べば、現場の見守りが楽になります。
【セーフィー担当者の声】
設備監視を目的としたカメラの活用法について、現場でお客様をサポートしているセーフィーの担当者に聞きました。
担当A:「操作記録、異常の検知に使われるケースがあります」
担当B:「設備のチョコ停、ドカ停が発生した際、すぐに遠隔から状況確認や、後から映像を振り返って原因究明にも活用されています」
担当C:「設備が壊れていないかの確認や、故障発生時にいつ、なぜ壊れたのかを特定するのに役立っているケースがあります」
担当D:「現場に技術者がいない場合でも、映像を通じて状況を把握し、遠隔から対応可能な部分をサポートするという使い方がみられます」
担当E:「保守作業のリアルタイム遠隔サポートや、修理後の設備の安定稼働を監視するのにも活用されています」
上記のような活用を行うには、適切なカメラ選びが重要です。具体的な選定ポイントは以下の通りです。
| 選定ポイント | 具体例・補足 |
| 1. 画質と見える範囲 | ・細かい部品やメーターを見るならHD画質以上 ・ライン全体の流れを把握したいなら広角レンズ |
| 2. 環境への強さ(耐環境性) | ・水滴や粉じんが多い場所には防水防塵機能を確認 ・高温および低温環境は動作周囲温度を確認 |
| 3. 配線・通信方法 | ・屋内:PoE給電対応モデル(LANケーブル1本で電源供給と通信) ・屋外:無線LAN対応モデル、LTE搭載モデル |
| 4. クラウド対応と運用のしやすさ | ・クラウド対応なら専用サーバー不要で録画保存。スマートフォンやタブレットで遠隔確認可能 |
現場に合ったカメラを選べば、設備の見守りがより安心で効率的になります。
なお、カメラを配置する際はプライバシーへの配慮も重要です。従業員など人が写り込む画角での防犯カメラの設置・運用開始には、個人情報保護法等の関係法令の遵守に加え、写り込む人々、写り込む可能性のある人々のプライバシーへの配慮が求められます。
防犯カメラとプライバシーの関係については、こちらの記事で詳しく解説しています。
設備監視システムにSafieを活用するメリット

Safie(セーフィー)は、クラウド型のカメラシステムとして、設備監視の現場に役立つ操作性・拡張性を備えています。ここでは、現場の設備監視にSafieを活用する主なメリットを整理します。
- 直感的な操作性・高い利便性
- 多拠点の一元管理が可能
- セキュリティ面の安心感
- 柔軟なAPI連携による拡張性
- 定額制で予算管理がしやすい
それぞれ見ていきましょう。
直感的な操作性・高い利便性
カメラ映像の閲覧画面(セーフィービューアー)は、誰でもすぐに使える操作性の高さが特徴です。タイムラインをドラッグするだけで過去の映像を簡単に振り返れるほか、特定の時刻にもワンクリックでジャンプできます。シェア機能を使ってカメラ映像を共有したり、権限設定でユーザーによる操作範囲を決めたりすることも可能です。
多拠点の一元管理が可能
Safieでは複数の拠点をひとつの画面でまとめて管理できるのもメリットです。工場、倉庫、営業所など拠点ごとにグループ分け(タグ機能)ができるため、カメラ映像の管理を効率化できます。見たい映像が直感的に分かるので、必要な情報にアクセスしやすく、時間の節約にもつながります。
セキュリティ面の安心感
設備監視には高いセキュリティが不可欠です。Safieでは通信の暗号化や厳格な認証、操作ログの管理まで、必要な対策が整っています。クラウド型のため、常に最新のセキュリティアップデートが自動で行われる点も特徴です。オンプレミス環境では必要な手動での更新作業が不要となり、管理者の負担軽減にもつながります。
柔軟なAPI連携による拡張性
Safieは、映像データと他のシステムを連携できる柔軟なAPIを搭載しています。たとえば、自社開発システムとSafieのクラウド型のカメラシステムをAPIで連携させると、カメラ映像と生産データの統合などが可能です。新しい設備や他のアプリケーションとの連携も容易なため、システムの拡張性が高く、長期にわたり活用できる環境を構築できます。
定額制で予算管理がしやすい
Safieでは月額定額制で利用できるため、コストの予測と管理がしやすいのが特徴です。カメラ本体費用、設置費、運用費(クラウド月額料金)などが明確で、初期費用とランニングコストの計画が立てやすくなっています。製造業のように長期的に設備を運用する現場でも、年度ごとの予算計画に対応しやすいといえます。
▶3分でわかる!クラウド録画サービス「Safie」サービス資料を見てみる
Safieを設備監視に活用している事例
Safieを設備監視に活用している2社の事例をご紹介します。
※事例内容は取材当時のものです。
AGC株式会社

世界屈指の素材メーカーとして知られる「AGC株式会社」。同社のAGC横浜テクニカルセンターでは、Safieと自社システムとのAPI連携を実施し、設備監視から計器計測、安全管理まで、Safieを幅広く利用しています。
導入の決め手は、現場の情報を音声つきの映像で残せること、APIサービスが備わっていること、クラウドの高いセキュリティ品質の3点でした。具体的には、映像がクラウドに一定期間保存されクリップ&ダウンロードできる点、ウェアラブルカメラは定点観測にも適していて高所や狭所の映像を残せる点、SafieがAPIサービスを備えておりAGCの開発システムとAPI連携できる点です。

Safie導入後は、ウェアラブルカメラを使って、不具合が懸念される設備のモニタリングをしています。さらに、APIを利用した計器データの取り込みにも活用しており、AGCのシステムに一定の間隔でスナップショットを送り、数値データに変換しモニタリングも行っています。

その結果として、現場で設備監視したりメモを取ったりといった作業員の工数負担が大幅に減っている点、不具合を早期に改善できている点に大きなメリットを感じています。
AGC株式会社の詳細な事例は以下の記事を参考にしてください。
東北電力株式会社

東北電力株式会社 原町火力発電所では、設備監視の高度化と現場効率の向上を目的に、ウェアラブルカメラ「Safie Pocket2(セーフィーポケットツー)」を導入しています。
以前、設備監視用に使用していた既設の固定カメラは、設置コストが高く、ローカル管理のため視聴や録画がネックでした。Safie Pocket2はそれらがすべて解消されるカメラで、設置や移設のしやすさ、クラウドでの映像保存・共有の手軽さ、そしてどこからでも映像を確認できる利便性が決め手でした。

導入後は、安全パトロールだけでなく、設備の稼働状況や異常の兆候を遠隔から確認する仕組みとしても活用しています。固定カメラが設置されていない場所でも、突発的な設備不具合をすぐに記録、共有できるようになり、異常時の対応の初動が迅速化しました。
東北電力株式会社の詳細な事例は以下の記事を参考にしてください。
設備監視カメラを活用して現場の課題を総合的に解決しよう
設備監視は、現場の稼働と安全を守るだけでなく、本記事で見てきたように遠隔点検の効率化、技術伝承の促進、データ活用の強化といった多くの課題解決につながります。
センサーに加え、カメラも適切に活用すれば、異常の早期発見だけでなく作業の記録や熟練者のノウハウ共有など、現場の生産性と技術力の向上を同時に高められるでしょう。
セーフィーでは、設備監視におけるカメラ活用についてのご相談を承っています。設備監視の課題解決にお悩みの方は、ぜひご相談ください。また、セーフィーについて詳しく知りたい方は、以下の資料をぜひご覧ください。
- 製造業界向けクラウドカメラ活用ガイド
- 製造業界におけるクラウドカメラの活用方法と導入事例をご紹介しています。
※顧客や従業員、その他の生活者など人が写り込む画角での防犯カメラの設置・運用開始には、個人情報保護法等の関係法令の遵守に加え、写り込む人々、写り込む可能性のある人々のプライバシーへの配慮が求められます。防犯カメラとプライバシーの関係については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶「防犯カメラとプライバシーの関係。事業者が注意すべき設置のポイント」
※カメラの設置に際しては、利用目的の通知を適切に行うとともに、映像の目的外利用を決して行わないことが求められます。適切なデータの取り扱いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶「カメラ画像の取り扱いについて」
※ セーフィーは「セーフィー データ憲章」に基づき、カメラの利用目的別通知の必要性から、設置事業者への依頼や運用整備を逐次行っております。
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