AI×クラウドカメラを活用した交通量調査とは?メリットや導入事例を徹底解説

AI×クラウドカメラで交通量調査

近年ではAI技術がさまざまな作業や業務で活用されており、交通量調査も人の手作業から自動化が進められている業務の一つです。今回の記事ではAIとクラウドカメラを活用した交通量調査について、メリットや導入事例を解説します。

国土交通省は2021年より交通量調査員による観測を廃止

交通量調査はこれまで調査員による方法が一般的でしたが、近年では変わりつつあります。

交通量調査とは、道路整備や出店計画などを目的に、車両や歩行者の流動や道路状況を調査するものです。国土交通省・各自治体・NEXCOなどの道路管理者が、都市開発・修繕・維持のために、道路そのものに関わるデータを収集する目的で行います。

また、小売り業界や飲食業界などが出店計画の参考にしたり、広告代理店が広告の視聴率を調査するために行ったりと、民間企業からも必要とされています。

従来の交通量調査の方法では、交通量調査員が道路に常駐して目視と手動で観測を行っていました。しかし、現在では従来の調査員による観測方法からカメラ画像やAI技術を取り入れた方法に変わりつつあります

実際、国土交通省でも交通調査員による観測を令和3年(2021年)度より廃止(※1)すると公表しました。同年の秋季には、5年に1度の交通量調査である「全国道路・街路交通情勢調査」において、国交省管轄の道路調査が、従来の方法に変わり、道路などに設置されている監視カメラ(CCTVカメラ)とAI解析を活用した観測方法へと変更されました。

※1 出典:“「令和3年度全国道路・街路交通情勢調査の実施について P3」”.国土交通省.2021-09-01(参照 2024-07-25)

『AI技術×クラウドカメラ』を活用した交通量調査とは?

調査員による観測が廃止された現在、国土交通省では、採用されているカメラとAI技術を活用した交通量調査が主流となっています。具体的には、道路にクラウドカメラを設置して映像を記録し、記録したデータをAI技術で解析する、というものです。

クラウドカメラとは記録映像をクラウド上に保存できるカメラのことで、ネットワーク経由でリアルタイムでの映像確認ができたり、過去の映像も振り返ったりすることができます。クラウドカメラで記録した映像から、あらかじめ設定した任意の条件をもとにAI機能がデータの収集を行う仕組みです。

AIには画像解析技術があり、たとえば顔の特徴から人を識別することなどが可能です。識別できる対象物は人物や車両の違いだけではなく、乗用車・トラック・バスといった車種も識別することができます。

また、画面上にラインを引いて通過した対象物を集計する、エリアを設定しておき指定した時間に滞留している人数を集計するといった調査もできます。

『AI技術×クラウドカメラ』を活用した交通量調査のメリット

AI技術とクラウドカメラを活用して交通量調査を行う場合のメリットを紹介します。

コストダウンができる

交通量調査にAI技術とクラウドカメラを活用すると、従来の方法よりも大きくコストダウンすることが可能です。

これまでは交通量データを収集するとなったら調査員を派遣する必要があり、調査員の人件費はもちろん、人員募集といった管理・運用のためのコストも生じていました。さらに、一人ひとりが集計したデータを集約してレポート化することも求められ、手間と時間のかかる作業でした。

多くのコストと手間がかかり、調査回数を増やしたくてもコストの関係で簡単には増やせない状況でしたが、AI技術とクラウドカメラを活用することで、必要な人員を大幅に低減できるようになっています。コストカットができる上、コストにとらわれることなく必要な調査が行えます。

人材確保が不要で急な計測にも対応可能

調査員による手動での調査方法は、上述したように人員募集をかけるなどの事前準備が必要でした。そのため、早急にデータが欲しい場合でも調査員をすぐに確保できるとは限らず、対応することが困難である場面もありました。

しかし、AI技術とクラウドカメラを活用する場合、事前の準備はカメラ設置や設定だけですので、人材の確保に関する懸念は解消されます。大掛かりな準備を必要とせず、早急に調査ニーズに応えられる点もメリットです

映像での振り返りができる

クラウドカメラで記録した映像はクラウド上に保存されるため、いつでも過去の映像を振り返れることもメリットの一つです。自動で収集される交通量のデータに加え、映像記録を確認することでデータではわからない情報も収集できるため、より精度をあげた調査が可能になります。

たとえば、AIが計測した数値において「高い」「低い」などが気になるデータがあれば、その時間帯に絞って映像を振り返ったり、AIが識別できない情報を目視で確認したりすることができます。データと映像を掛け合わせた多角的な調査ができるのも良い点です

24時間365日にわたり精度の高い計測ができる

人の手動による計測では、長時間行えば行うほど負担につながり、集中力が途切れてしまうといった懸念があります。また、人により判断基準に差が生じて計測結果に影響されることも考えられます。

しかし、機械や設備であれば、24時間365日にわたり常に計測を続けられます。AIに識別してほしい基準を設定しておけば、人の主観に左右されることなく常に同じ基準で計測されるため、精度の高い計測が可能です。

『AI技術×クラウドカメラ』で計測可能な交通量調査シーン

AI技術とクラウドカメラの活用で調査員の確保やコストの問題を解決でき、精度の高い計測ができるようになります。ここでは、AI技術とクラウドカメラを利用した交通量調査がどのようなシーンで役立つかを紹介します。

自治体の交通量調査

「全国道路・街路交通情勢調査」は、国土交通省だけでなく各地方自治体も管轄道路の交通量調査として行っている調査です。地方ではまだ手動での計測が多くの割合を占めていますが、今後は自治体でも手動による調査方法を廃止する方向で、国土交通省が働きかけていくとしています

自治体が管轄する道路は、高速道路・国道・都道府県道・市道など広い範囲にわたるため、AI技術とクラウドカメラの活用が大きく貢献できることが期待されます。

店舗前の交通量調査

スーパーやドラッグストアなどの小売店や飲食店にとって、店舗前の交通量調査は重要なデータとなり、出店の有無を判断するために必要なものです。

入念な調査を行わずに出店した場合は売上が伸び悩むといった問題が生じる可能性もありましたが、従来の交通量調査ではコストや時間が掛かる点が課題でした。

AI技術とクラウドカメラによって、コストダウンを図りながら調査することが可能となり、スムーズにデータ集計まで進められます。

時間帯による通行量の変化や通行者の属性などのデータは、店舗運営においても継続的に必要となるデータです。AIの機能をうまく駆使することで詳細なデータを集計できるようになるため、マーケティングとしても重宝される可能性があるでしょう

▼小売店舗向けのクラウドカメラの使い方についてはこちら

歩行者の通行量調査

歩行者の通行量は、道路交通の整備や店舗の出店計画をはじめ、広告活動・イベント開催・建設工事の際の施工計画などにも活用されています。

AI技術やカメラ映像を駆使して自転車・車いす・ベビーカーなどといった歩行者の属性まで把握できれば、住みやすい街づくりやニーズに沿ったサービスの立案なども行えるようになります

船舶の交通量調査

船舶の交通量調査には、内航船舶(営業用)と自家用船舶を対象にした、国土交通省が実施している「内航船舶輸送統計調査」があります。海上での交通政策や経済政策の策定のために活用されるデータ収集を目的としており、貨物の重量や輸送した距離などのデータが収集されています。

調査方法は対象者による調査票の記入方式で、郵送やオンライン申請システムを使って提出するものでしたが、この方法では調査やデータ収集に時間やコストがかかることが懸念されていました。

現在ではカメラ映像から計測できる新しいサービスが民間企業から展開されており、船舶の走行台数の計測や船舶の種類別での計測が可能となっています。

踏切の通行量調査

駅や周辺の施設は多くの人が利用するエリアであり、通行量のデータは多くのシーンで活用されます。踏切を利用する人や車の多さは、列車や周辺道路の安全にも関わる特に重要なデータです。たとえば、人口の増加に伴って列車と道路の通行量が増加すると、踏切を待つ交通渋滞が発生する可能性が高まります。

踏切の通行量調査にAIとクラウドカメラを導入することで、有効なデータの取得につながります。列車と周辺道路の安全確保や交通渋滞を緩和する対策検討など、活用方法が広がっていくでしょう。

『AI技術×クラウドカメラ』を活用した交通量調査は「Safie Survey」がおすすめ

「従来の交通量調査の方法では課題が多い」「交通量調査のデータはさまざまなシーンで活用されている」ということは理解しているものの、AI技術やクラウドカメラをどのように導入してよいかわからない方は多いのではないでしょうか。

そこでおすすめなのが、交通量調査サービス「Safie Survey(セーフィー サーベイ)」です。Safie(セーフィー)のクラウドカメラとAIデータ解析を組み合わせ、ワンパッケージにしてお届けするサービスです

セーフィーは多彩なカメラを提供しており、カメラ映像を活用することで企業が抱える課題を解決に導くサポートをしている会社です。

Safie Surveyは、セーフィーの知見を活かし、豊富なラインナップを揃えたクラウドカメラ・データ解析用のAIエンジン・セーフィーによるサポートまで含めたサービスです。サービスの特長は以下のとおりです。

【Safie Surveyの3つの特長】

  • 現場に適したクラウドカメラを選定(カメラをレンタル提供
  • 事前に精度検証を行うことで、AI×ヒトで精度を担保
  • 必要な作業をすべて請負(カメラ選定やAI解析設定に加え、レポート作成も含む

企業にとってカメラの選定やAIの導入は、専任のスタッフがいないなどの課題に直面しやすく、難易度が高くなりやすい作業です。

必要な全作業をセーフィーがオールインワンでサポートするだけでなく、レポート作成も請負うため、担当者は簡単かつ迅速に調査データを取得できます。交通状況によって対応が左右されるイベントや土木工事、通行者の属性を把握したい飲食業界や小売業界など、あらゆるシーンやさまざまな業界において活用できます。防犯などの目的ですでにセーフィーのカメラを導入中の場合も、交通量調査として代用することができます。

▼Safie Survey(セーフィー サーベイ)についてはこちら

「Safie Survey」を導入するメリット

「Safie Survey」を導入してできることやメリットについて紹介します。

調査期間や場所を問わずに対応可能

先の説明の通り「Safie Survey」はAIとクラウドカメラを掛け合わせた交通量調査を行うサービスで、24時間365日いつでも調査することができます。調査期間や場所を限定されることがない上、調査実施の準備やデータの収集に手間がかかる心配もありません。平日・土日・夜間・日中などを問わず対応できるので、幅広い事業者に導入いただけます。

【想定される事業のケース】

  • 都市開発に関連する調査事業
  • 観光事業に関連する調査事業
  • 鉄道・バスなどの公共交通機関に係る調査
  • 小売・飲食業の新規出店に係る調査
  • 調査会社・コンサルティング会社の調査 など

車種ごとの通行台数の計測が可能

Safie Survey」は歩行者や車両の通行数はもちろん、車種ごとに通行台数を計測できます。乗用車・トラック・バイク・バスなどあらゆる車種に対応しているだけでなく、顧客のニーズに合わせてその他の車種も調整できます。混雑具合を知りたいといったニーズから、車両の属性まで把握したいといったニーズまで対応可能です。

エリア別の通過人数集計が可能

カメラの画角内に集計したいエリアを設定し、その地点を通過する人数を集計できます。どれくらいの通行量があるか把握できれば、出店計画や道路整備などさまざまなシーンで役立てられます

たとえば、小売業界の場合は店舗前や入口、店内などの通行量を調査することで、購買に至るまでの行動分析が可能となります。レイアウト変更や陳列などの検討において活用することも有効です。

特定エリアの滞留状況の集計が可能

カメラの画角内に特定のエリアを指定し、設定した時間にエリア内にいる人数を集計することで滞留状況を把握できます。滞留状況のデータは、広告宣伝やプロモーションなどのマーケティング活動や、道路の混雑緩和の対策などといったシーンで有効な判断材料として活用できます

一連のプロセスをワンパッケージで提供

Safie Survey」を導入する大きなメリットは、交通量調査に関連するすべてのプロセスをワンパッケージで提供している点です。上述したようにデジタル人材がいない場合でも手軽に導入でき、レポート作成まですべて請け負っているため、専任の人を配置する必要がありません。人材確保が不要となるため大幅なコストダウンにもつながります。

「Safie Survey」の導入事例

土木・建築・環境分野における高度な技術力で知られる「株式会社奥村組」。建設業界が抱える「働き手の減少問題」を解決するため、積極的に現場のDXを進めています。

【従来の調査方法での課題】

工事の着工前後に必要となる交通量調査は、これまで専門の調査会社に依頼していました。しかし、一定の精度を確保するためにはコストと時間を要しており、コストを抑えようとするとデータの精度に問題が生じるといった課題を抱えていました。

【セーフィーの交通量調査サービス「Safie Survey」を導入した結果】

調査コストが従来の方法よりも約1/3に圧縮できたほか、浮いたコストの分、調査頻度を増やしてデータ精度を向上することも可能になりました。また、人ではなくカメラ映像を使用する調査であるため天候に左右されない点や、過去の映像を振り返って調査が行える点など、さまざまなメリットにつながっています。

\「株式会社奥村組」の詳しい事例はこちら

交通量調査はAI技術とクラウドカメラで効率化を

AI技術とクラウドカメラによる交通量調査は、手軽にコストカットを図りながら、精度の高いデータを取得することにもつながります。交通量・通行量を考慮した計画や対策に有効であり、定常的な効果検証や改善にも活用できます。

交通量調査の効率化を図りたい方や、AI技術とクラウドカメラを検討している方は、ぜひセーフィーまでご相談ください。

Safie Survey
交通量・人流調査 サポートサービス「Safie Survey」
AI解析×ヒトの目による精度検証。カメラ手配からレポート作成までを低コストで実現するワンストップ調査サービス