KYT(危険予知トレーニング)とは?実際に起こり得る事例やおすすめの対策を紹介

KYTトレーニングとは? 事例やおすすめ対策

KYT(危険予知トレーニング)とは、現場に潜む危険要因とそれによって起こるさまざまな現象について話し合い、危険のポイントや重点実施項目を設定することで、事前に解決しようとする訓練のことです。KYTは建設業界など、作業員が作業中に怪我をするリスクがある場合に必要となります。

この記事では、KYTの概要やメリット、具体的な進め方などについて解説しています。また、実際にKYTで使われるイラストを用いた例題も取り上げているため、ぜひ参考にしてください。

KYT(危険予知トレーニング)とは

KYTとは、現場や日々の作業に潜んでいる危険要因とそれによって引き起こされるさまざまな現象を少人数のチームで話し合い、危険のポイントや重点実施項目を検討し、行動する前に解決する訓練のことです

KYTは、それぞれ「K(危険)」「Y(予知)」「T(トレーニング)」を意味しており、「危険予知トレーニング」とも呼ばれます。

KYTの具体的な取り組みとしては、現場や作業中の状況が描かれたイラストを使ってどういったことが起こりうるか、どういった対策が考えられるといったことを検討します。

KYTの目的

KYTの目的は、作業員の安全に対する意識を改善し、危険予知能力を向上させることです最終的には、危険なポイントに対して体が無意識に反応するレベルにまで高めることを目指します

KYTを通して、事故等につながる恐れのあるシチュエーションを把握することで、一人ひとりの意識向上が期待できます。また、イラストに描かれた具体的なシチュエーションに基づいて話し合いをするため、どういった危険が起こるのかといった予知能力を高めることもできるでしょう。

KYTが必要なケース

KYTは、作業員が作業中に怪我をするリスクがある、事故が発生する恐れがあるなど、仕事に危険が伴う場合において必要となります。例えば、建設業は、電動工具を使用するほか、高い場所で作業するケースもあり、怪我や事故等のリスクがあるためおやつ KYTを行うべきだといえるでしょう。

そのほかにも、製造業や物流業をはじめとして、飲食業やオフィス内で事務作業などでも怪我や事故等のリスクがある場合は行うべきです。

KYTのメリット

ここではKYTを行うことでどういったメリットを得られるのか解説します。メリットを作業員に周知することで、KYTに取り組んでもらいやすくなるため、ぜひチェックしてみてください。

安全な行動につながる

危険予知トレーニングという名前の通り、KYTは危険に関する情報を共有し、それを解決する方法を検討するため、トレーニングをすることで作業員の安全な行動が期待できます。

例えば、トレーニング中のイラストで見た状況が、実際の作業で目の前で発生した場合「これはこの前確認したところだから注意しないと」と、より注意深い行動をとってくれるでしょう。

危険情報を潜在意識に刷り込ませられる

KYTでは、作業で起こりうる危険を洗い出し、どうすれば危険を防げるかといったことを考えるため、トレーニングを通して危険に関する情報を潜在意識に刷り込ませられます。

多くの人は普段、習慣に基づいて行動しており、無意識に判断していることが少なくありません。そのため、危険な状況が迫っているときでも「いつも大丈夫だから」と習慣的に判断してしまう恐れがあります。

KYTは、トレーニングを通してさまざまな危険要因を知ることとなるため、作業員は「習慣で判断してはダメだ」「常に危険がないか確認しないといけない」といった考えを持つようになるでしょう。

チームワークの強化

KYTは、少人数のチームを組んで危険要因の抽出や解決策の検討といった話し合いを行うため、チームワークの強化にもつながります。

トレーニングを通して、仕事や危険要因に対する考えや意識などを話し合うことで相互理解が深まるため、より仕事も行いやすくなるでしょう。KYTに取り組むことが、職場の危険を取り除くだけでなく、業務効率の向上も期待できます。

KYTは「KYT4ラウンド法」で進める

KYT4ラウンド法」とは、危険予知トレーニングにおける代表的な手法です。「現状把握」「本質追求」「対策樹立」「目標設定」から構成され、1つずつ取り組んでいくことでKYTトレーニングが行えます。ここではKYTラウンド法の各要素について解説します。

【第1ラウンド】現状把握

現状把握は、提示されたイラストの状況にどのような危険が潜んでいるかを検討する段階です。5〜6人程度でチームを組んで、チーム全員で意見を出し合いながら、危険要因とそれによって発生する事故等を共有します。

例えば、高いところにあるものを下ろすために脚立を使っているとき、「ものの重さでバランスを崩してしまい転落する恐れがある」といったことが考えられます。

現状把握で大切なのは自由に意見を出すことです。イラストの状況に対して「こんなことは起こらないだろう」と判断して意見を出さない、といったことはしないようにしましょう。

【第2ラウンド】本質追求

現状把握によって起こりうる危険を洗い出したら、その中からより現実的な危険、特に危険と考えられるものをピックアップします。非現実的なものや事故につながらないと思われるものは、ここでは無視してください。

最重要項目と重要項目といった形で、危険要因をいくつか選択しましょう。また、チームのメンバー全員が納得できるものを選択することが大切です。最重要項目と重要項目が決まったらこの段階で指差唱和をします

【第3ラウンド】対策樹立

最重要事項、重要事項を発生させないためには、どうすればいいかを考え、具体的な対策を検討します。ポイントは、すぐにでもその対策を実行できるくらい、具体的なものにすることです。

ここで考えた対策をベースに、具体的な行動目標を設定するため、入念に考える必要があります。

【第4ラウンド】目標設定

考えた対策の中から、メンバーで1つに絞り込んで「重点実施項目」とします。そして、最終的にチームの行動目標を設定してください。

例えば、「〇〇を使うときは〇〇に気をつけて〇〇しよう」といった形です。目標が決まったら、目標の最後に「よし」をつけてチーム全員で指差唱和をします

以上がKYT4ラウンド法によるKYTの進め方です。

KYTをより効果的にする手法

ここではKYTをより効果的なものにするために役立つ手法を2つ紹介します。建設現場などでは、使用される機会の多い手法でもあるため、覚えておきましょう。

指差呼称

指差呼称は、声を出しながら対象となるものに指を差すことで、安全確認の際に行われる手法です。対象物を目視で確認したうえで指を差し、さらに声を出すことで、よりその対象物に対する意識レベルや集中力を高められます。集中して取り組みやすくなることで、ヒューマンエラー防止も期待できるでしょう。

指差唱和

指差唱和は、チーム単位で対象となるものに指を差して唱和することです。建設現場などの場合、現場監督や班長といったリーダーが「〇〇よいか」と声をかけ、他のメンバーが「〇〇よし」と唱和するケースがよく見られます。チーム全体で意識を統一できるなど、チームワークの強化にもつながる手法です。

KYTの例題

KYTは、作業で起こりうる状況を描いたイラストを見て、どういった危険が起こるのかを検討します。そこで、ここでは実際にイラストを提示してどういったことが起こりうるかを考えてみましょう。明確な答えがあるわけではないため、思いついたものをどんどん口に出してみてください

Q1.何が起こりうるか

1つめは、フォークリフトでボックスパレットを運んでいるシーンです(※1)。

運搬(フォークリフト)

※1 出典:“運搬(フォークリフト)|製造業|運輸業|危険予知訓練(KYT)無料イラストシート集”.一般社団法人安全衛生マネジメント協会.(参照 2024-6-27)

A.起こりうる危険

さまざまな事故等が発生する可能性が考えられますが、例としては、以下のようなものが挙げられます。

・運転手の死角から他の作業者が侵入してくる

・誘導員が後ろを見ずに後退し、他の車両に衝突する

・運転手がハンドル操作を誤ってしまう

など

Q2.何が起こりうるか

こちらは、天井クレーンで吊り上げをしている場面です(※1)。

H鋼釣り上げ(天井クレーン)

※1 出典:“運搬(フォークリフト)|製造業|運輸業|危険予知訓練(KYT)無料イラストシート集”.一般社団法人安全衛生マネジメント協会.(参照 2024-6-27)

A.起こりうる危険

ここで起こりうる危険としては、以下のようなものが挙げられます。

・吊り上げているものが落下して下敷きになる

・操作を誤って人やものにぶつかってしまう

など

このように、1つのイラストだけでもさまざまな危険を想像できます。KYTは、現場で起こりうる危険を回避するためにも、欠かせないものです。

このKYTをより効果的なものにしたい場合、防犯カメラの活用がおすすめです。防犯カメラがあれば、過去のヒヤリハットや実際の危険行動、事故の様子を確認できます。

また、その映像を使って動画マニュアルを作ることも可能です。イラストで話し合いを行ったうえで、実際に起こった例として映像を提示できれば、作業員はより危険に対する意識を高められるでしょう。

まとめ

今回は、KYTの概要やメリット、進め方などについて解説しました。KYTは、危険予知トレーニングのことです。現場で起こりうる危険についてチームで話し合い、危険のポイントや重点実施項目を検討し、行動する前に解決を図ります。

KYTを実施することで、作業員の安全行動や危険情報の潜在意識への刷り込みが可能となるでしょう。KYTは、「現状把握」「本質追求」「対策樹立」「目標設定」から構成される「KYT4ラウンド法」で行うことが可能です。

また、KYTをより効果的なものにしたい場合は、防犯カメラによる映像を合わせて活用することをおすすめします

防犯カメラは、実際のヒヤリハットや事故の映像も資料として取り入れることで、訓練がより身近になるだけでなく、現場の安全管理にも活用でき、本来の目的である事故の削減に役立つでしょう。

KYTの効果最大化や現場の安全管理をお考えの方は、ぜひセーフィーまでお気軽にご相談ください。

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