店舗の運営がうまくいかないときは、何らかの改善すべき課題が潜んでいます。課題を見つけ、運営を軌道に乗せるためにも、早急に実践したい改善方法をまとめました。
また、業務効率化のポイントも紹介しますので、ぜひ参考にして、健全な店舗運営を実現していただけると幸いです。
目次
店舗運営とは？
そもそも店舗運営とは、店舗に関わるヒト・カネ・モノを管理することです。いずれか一つでも管理がうまくいかないときは、「利益率が低い」「顧客が定着しない」「人手不足で営業時間を短縮せざるを得ない」などの問題が生じます。
店舗運営は、店長が指示を出し、従業員が実務を担当する流れが一般的です。チェーン店などでは本部が方針を出すこともありますが、具体的な指示として従業員に伝えるのはやはり店長になります。そのため、店舗運営の責任は店長にかかっているといっても過言ではありません。
店舗運営に含まれる業務内容
店舗運営には、次の業務が含まれます。
- 店舗・商品のレイアウト
- 仕入れ・在庫管理
- 売上管理
- 人材管理
- 販売促進活動
- 開店業務・閉店業務
店舗運営を改善する前に、どの業務に問題があるのかを突き止めることが必要です。まずはそれぞれの業務内容について見ていきましょう。
店舗・商品のレイアウト
顧客が商品に対して興味を持ち、購入しようという気持ちになるためには、商品を魅力的に見せることが必要です。どこに何があるのかわかりやすく棚に陳列するだけでなく、店舗の外から見えるようにしたり、関連商品をまとめて並べたり、商品の値段や特徴をPOPに記載したりと工夫します。
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また、店舗自体を魅力的にレイアウトすることも必要です。音楽や飾り付けで明るく楽しい雰囲気を演出し、入りやすいようにするのはもちろんのこと、こまめに清掃し、居心地のよい清潔な空間に整えます。
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仕入れ・在庫管理
商品を発注する仕入れ管理も、店舗運営の大切な業務です。安く仕入れるために、仕入れの時期や業者を検討したり、地域性や顧客層、イベントに合った商品の種類と発注数を決めたりすることも、仕入れ管理に含まれます。
在庫管理は、在庫状況を正確に把握し、商品を補充する業務です。よく売れる商品であっても、在庫を切らしてしまえば販売の機会を失ってしまいます。反対に売れる見込みが少ない商品の在庫を多数抱えるのは、経営にとってプラスとはいえません。顧客のニーズや販売数を分析し、適切な商品を適切な数量だけ補充します。
売上管理
売上管理とは、店舗の売上を把握し、分析することです。売上目標を達成していないときには要因を探り、どのような取り組みが必要か具体的に提案して実行しなくてはいけません。
また、売上目標を達成しているときも、売上効率を高め、さらに売上高を伸ばすための施策の提案・実行が必要になります。売上は店舗存続を左右する重要な要素です。売上管理に注力し、健全な店舗管理を実現しましょう。
人材管理
人材管理とは、適切なスキルを持った従業員を適切な人数揃え、適切に評価することです。次の業務などが含まれます。
- 求人、採用
- 教育
- シフト作成
- 勤怠管理
- 評価制度の構築、評価
- 報酬制度の構築、給与の支払い
いずれの業務も、従業員を確保するために必要です。従業員なしには営業そのものが成り立たないため、人材管理は店舗運営の基盤を成す重要な業務といえます。
販売促進活動
販売促進活動とは、売上向上のための業務全般を指します。基本的な活動の指針は本部で決めることが多いですが、POPの作成や実演販売などのインストアプロモーションは各店舗で決めることが少なくありません。
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地域性や顧客層、販売したい商品の種類などに合わせて、適切な販売促進活動を計画することが必要です。「どの商品とどの商品を組み合わせて買う人が多いのか」「顧客が増える時間帯、滞在時間が増える時間帯はいつか」など、普段から顧客の購買活動に注目し、適切な販売促進活動をプランニングしましょう。
開店業務・閉店業務
開店業務とは、その日の営業を開始するときに行う業務全般のことです。たとえば、店舗の掃除やレジの立ち上げ、陳列棚やPOPの確認、朝礼などが含まれます。
一方、閉店業務は、その日の営業を終えるときに行う業務全般です。売上金の確認やセキュリティチェックなどが含まれます。
店舗運営を改善する基本方針
店舗運営には多くの業務が含まれるため、問題があると感じても、「どこから手をつければよいのだろうか」と戸惑ってしまうことも多いのではないでしょうか。
しかし、方針を決め、順序立てて対応すれば、運営改善は難しいことではありません。運営改善の必要性を感じたときは、次の順に対応していきましょう。
- 業務内容を細分化する
- 課題を洗い出す
- 課題ごとに改善策を立案する
- 改善と検証を繰り返す
それぞれ順に解説します。
業務内容を細分化する
まずは店舗運営に関わる業務内容を細分化します。たとえば、飲食店なら、業務全体を以下のように細分化できるかもしれません。
- 店舗の内装・外観の管理
- 仕入れ管理、在庫管理
- 売上管理
- 調理、配膳
- 人材管理
- プロモーション活動
- 開店業務、閉店業務
- 接客業務
- トラブル対応
- 本部との連携
業務内容は業種や業態によっても異なります。店舗で行われるすべての業務活動を網羅するようにリストアップしてください。
課題を洗い出す
次に、細分化した業務内容一つひとつについて考慮していきましょう。「店舗の内装・外観に問題があるか」「従業員の管理に問題があるか」と探っていくうちに、店舗が抱えている課題が明らかになります。
なお、課題は一つとは限りません。複数の課題が絡み合い、店舗運営を悪化させていることもあります。そのため、課題が見つかっても、すべての業務内容について考慮してください。
店舗運営のよくある課題1．人材不足
よくある課題としては、人材不足が挙げられます。必要な従業員数を揃えられないケースだけでなく、夜間や土日に対応する従業員がいないなど、特定の業務・時間に対応する人材が不足するケースもあるでしょう。
人材不足は、販売機会の減少や顧客満足度の低下など、さまざまな問題を引き起こします。採用活動を強化する、適切なシステムを導入して業務の属人化を解消するなどの対策が必要です。
店舗運営のよくある課題2．指示が正確に伝わらない
本社・本部の指示が従業員にまで正確に伝わっていないことも、店舗運営によくある課題です。店長が指示を見落としている可能性もありますが、店長が指示の意図を正確に理解せずに従業員に伝えたり、従業員が指示を正確に理解しなかったりすることによっても引き起こされることがあります。
営業時間が長く、店長が常に店舗にいるとは限らないケースでは、さらに指示が伝わりにくくなるかもしれません。本社・本部側がわかりやすく伝えることも大切ですが、店舗内ですべての従業員に正確に指示を伝える仕組みを構築しておくことも重要です。
店舗運営のよくある課題3．事務作業が多い
売上管理や在庫管理などの帳簿作成を手作業で実施している場合は、業務量が増え、従業員の負担も増えてしまいます。また、間違いが生じやすいため、見直し作業に時間がかかることも、業務量が増える一因です。
事務作業が多いと、接客や営業などの他の業務にかける時間が減ってしまいます。顧客対応にかける時間も減り、顧客満足度の低下が起こるかもしれません。帳簿作成ソフトや在庫管理システムなどを導入し、事務作業にかかる時間を減らす必要があります。
課題ごとに改善策を立案する
洗い出した課題ごとに改善策を立案します。たとえば、「席案内や配膳に時間がかかり、顧客の待ち時間が長い」という課題があるなら、次のような改善策を立てられるかもしれません。
- 接客スタッフを増やす
- 調理や配膳のスタッフを増やす
- 席を準備する流れをマニュアル化する
- 受付システムを導入し、順番になったら顧客にメールで連絡が届くようにする
状況によって適切な改善策は異なります。さまざまな角度から課題を分析し、改善策を立案してください。実現可能な施策から試してみましょう。
改善と検証を繰り返す
改善策を実施し、効果が得られるのか検証します。効果が得られないときや期待したよりも効果が少ないときは、改善策を改善し、再度実施しましょう。改善と検証は何度でも繰り返すことが必要です。
より効果のある施策を見つけるためにも、時間をかけて改善・検証を繰り返してください。
店舗運営を効率化するポイント
業務を効率化することでも、店舗運営は改善されます。次のポイントに注目し、運営効率化を目指しましょう。
- 業務プロセスを見直す
- 情報をデータ化して共有する
- システムを統合する
各ポイントを解説します。
業務プロセスを見直す
業務効率化を実施する前に、業務プロセスを見直すことが必要です。業務プロセスに重複がないか、非効率な流れがないか、重要度の低い業務に時間をかけていないかチェックしてみてください。
各業務を以下の2つの基準で分類すると、各業務の重要度が明確になり、業務プロセスの見直しがしやすくなります。
- 作業レベル（業務遂行にどの程度の時間がかかるか。長い・中程度・短い）
- 動作レベル（業務量がどの程度多いか。重度・中度・軽度）
情報をデータ化して共有する
情報を紙で共有すると、「紙に記録する」「記録した紙を探す」「紙を適切な場所に保管する」業務が必要になり、時間がかかってしまいます。情報を共有するときは、データ化するようにしてください。
データ化すると、インターネット環境とインターネットデバイスさえあれば、どこでも情報を取得・保管できるようになり、情報確認や共有にかかる時間を短縮できます。たとえば、次の情報をデータ化し、オンラインで共有できるようにしておきましょう。
- 機械操作や接客などのマニュアル
- 顧客データ
- 接客数・販売数・売上などのデータ
システムを統合する
業務効率化のために、すでにさまざまなシステムを導入している店舗も多いのではないでしょうか。しかし、各システムが別個に業務をこなしている場合は、十分に効率化できているとはいえません。
たとえばシフト管理システムや勤怠管理システム、給与計算システムを統合すれば、シフトを入れるだけで給与計算までワンストップで完了できるようになります。
また、複数の店舗がある場合は、システム統合により一元管理が可能です。本社・本部とも話し合い、システムの統合を進めていきましょう。
店舗運営の改善に役立つECRSの原則とは？
店舗運営を改善し、さらなる効率化を実現するためにも、ECRSの原則を知っておくことをおすすめします。ECRSとは次の4つの頭文字を合わせた言葉です。
- 排除（Eliminate）
- 結合（Combine）
- 交換（Rearrange）
- 簡素化（Simplify）
ECRSの原則は店舗運営だけでなく、業務フロー全般の改善に活用されています。それぞれの考え方を見ていきましょう。
排除（Eliminate）
業務改善をする際、最初に検討すべきポイントは「排除（Eliminate）」です。業務の中に不要なものがあれば、まず排除してください。
たとえば、朝礼や報告書の検印などは、排除しても売上に影響がないかもしれません。不要な業務を洗い出し、従業員の負担軽減と効率化を実現していきましょう。
結合（Combine）
類似した業務を「結合（Combine）」することでも、業務効率化を実現できます。反対に、類似性の低い業務を分離することによっても、作業スピードの向上を実現できるかもしれません。業務を細分化し、以下のポイントを考慮してみてください。
- 一人で複数の業務を担当している → 分離するべきか？
- 複数人で単一業務を担当している → 担当者を減らせないか？
- 複数人で似たような業務を担当している → 業務を統一できないか？
交換（Rearrange）
次に、業務フローや業務内容の「交換（Rearrange）」を検討してみましょう。たとえば、開店業務に時間がかかりすぎるときは、一部を閉店業務に回したり、開店後の業務として振り替えたりできるかもしれません。
また、データやマニュアルを紙から電子に換えること、給与計算を手計算からソフトウェアに変更することでも、業務効率化を実現できます。
簡素化（Simplify）
業務を「簡素化（Simplify）」することでも、改善につなげられます。たとえば、次の点を実施することで運営を簡素化できるかもしれません。
- 書類のテンプレート化
- 在庫管理と受発注管理の連携
- 配膳ロボットの導入
- 受付業務の機械化
店舗運営は定期的に見直して改善しよう
よりよい店舗運営のためにも、見直しと改善を通常業務に組み込み、継続的に実施することが大切です。改善点を見つけ、適切な改善策を立案するためにも、防犯カメラの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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