建設業はほかの業種と比較すると、労働災害につながりやすい性質をもつ仕事だといわれています。万が一事故を発生させた場合は重大な事故につながる恐れもあるため、建設業において安全対策は必要不可欠です。この記事では、建設業での事故を未然に防ぐために有効な方法を解説します。
目次
建設業の安全対策の重要性
建設現場では高所作業や重機を扱う作業などがあるため、重大な事故につながる恐れがあります。厚生労働省が公表している労働災害発生状況によると、令和4年度の労働災害での死亡事故は全体で774人におよびます(※1)。
そのうち建設業が281名と約3割ほどを占めており、他業種よりももっとも多い割合となっています。この結果が示すとおり建設現場での作業は危険が伴うため、事故を防ぐため安全対策が非常に重要です。
※1 出典:”令和4年 労働災害発生状況” .厚生労働省 労働基準局 安全衛生部安全課.2023-5-23(参照 2024-4-26)
建設業で起こり得る事故の例
建設業で起こり得る事故の事例を紹介します。事例は、「建設業労働災害防止協会」が建設現場の安全教育を目的にとりまとめたテキストをもとにしています(※2)。
※2 出典:”災害事例” .建設業労働災害防止協会.令和3年5月(参照 2024-4-26)
墜落・転落
建設現場での労働災害でもっとも多いのは、「墜落・転落」です。足場を組んでおこなう高所作業では高所から落ちてしまい大怪我を負う、または死亡事故につながる場合があります。
【墜落・転落の事例】
建物屋上のコンクリート溝の補修作業の際、足場から補修材を作業現場で吊り上げていたが、補修材を受け取りやすいように足場の手すりと落下防止シートを一時的に取り外し作業を行っていた。さらに安全帯も取り付けておらず、荷を取る作業中バランスを崩して墜落してしまった。
崩壊・倒壊
建設現場では老朽化した建物や建設中の建物が、作業中に崩壊・倒壊する可能性があります。また、足場を組み立てる作業や機材や資材を積み上げて保管する場合に、それらが崩壊・倒壊してしまうということもあります。崩壊・倒壊によって作業員だけでなく、周囲にいた一般人も下敷きになるという恐れもあります。
【崩壊・倒壊の事例】
フォークリフトを使って、トラックの荷台にキャスター付きの機材の積み込み作業を行っていた。積み込み作業終了後、位置調整のためにキャスターのストッパーを外して押したところ荷崩れを起こしてしまい、手で押さえようと近づいた作業者が下敷きになってしまった。
飛来・落下
建設現場は、屋外での作業であるため雨や風の影響を受ける機会も多いです。強風に煽られて機材や備品が飛来してしまったり、高所から落下してしまったりする事故もあります。また、クレーンなどを用いて荷を動かす作業では、資材を落下させてしまう事故のケースもあります。
【飛来・落下の事例】
クレーンで70トンの砂利を包んだフレコンバッグの運搬中、別のダンプカーを誘導していた作業員の頭上を通過した。その際、フレコンバッグが切れて作業員に砂利が降りかかってしまった。
はさまれ・巻き込まれ
クレーンやショベルカーなど重機を取り扱うため、重機にはさまれたり巻き込まれたりする事故も発生しています。
【はさまれ・巻き込まれ事例】
ショベルカーでの積み込み作業が完了したため、エンジンをかけたままロックレバーを上げて降りようとしたところ、別の作業で必要だったため装着していた安全帯がロックレバーに引っかかりショベルカーが旋回、作業員がキャタピラ部分にはさまれてしまった。
転倒・激突され
現場に置かれた機材や資材などが原因で転倒して作業員がケガをする、あるいは、重機や機材などに激突されるといった事故もあります。
【転倒・激突されの事例】
台車で空調機を運搬中に向きを転換させようとしたが、キャスターが回転せずその反動で空調機が転倒した。その際、空調機を支えようとして作業員が下敷きになってしまった。
建設業で事故が起こる具体的な要因
建設現場で起こる事故はいくつもの要因が潜んでいますが、大きくは以下の4つに分けられます。
作業場の環境的要因
安全帯が適切に取り付けられていなかった、手すりなど墜落防止装備の不備があった、というようにもともと作業環境自体が不安全な状況を招いていることがあります。また、雨天により足元が滑りやすく転倒につながる、強風により物が飛ばされてしまうといった天候によるものもあります。
作業員の意識的要因
作業員の不注意などで作業手順や機材などの確認を怠ったケースや、注意力や集中力の低下によるミスなど、作業員の意識によるものも事故の要因となっています。
機械や道具による要因
重機や機材などの不備や劣化により、事故を招くこともあります。事前に点検や整備などが実施されていないケースや、現場ごとで使用する機械や道具が異なり標準化できていないケースも当てはまります。
作業時期の季節的要因
建設作業は、季節的な要因にも左右されやすいといえます。屋外での作業となるため、夏場の温度上昇や季節の変わり目の寒暖差によって体調不良も起こりやすく、事故率の上昇を招く要因です。また、年末や年度末は工事の受注量が増える時期です。納期に間に合わせようとして安全への注意を怠ることや、疲労の蓄積によって事故が起こることもあります。
建設業における事故を防ぐための安全対策
重大な事故につながる可能性の高い建設業では、安全対策が欠かせません。ここでは、事故防止につながる具体的な安全対策を紹介します。
安全衛生管理計画書を作成する
建設業では、下請企業が「安全衛生管理計画」を作成し、元請会社に提出する必要があります。安全衛生管理計画は作業ごとの危険性や起こりうる事故、事故発生の防止策などを明記するもので、工事を安全に進めるために作成します。
定期的な機械の点検をおこなう
機械の不備による事故を防ぐため、定期的に機械の点検をおこなうことが大切です。効率的に点検できるように、点検リストを作成することも効果的です。
季節、気象状況に応じた対策をおこなう
熱中症などによる季節性の体調不良、豪雨や台風による自然災害のような季節や天候による事故を防ぐため、それぞれの状況に応じて対策を立てることが必要です。
危険予知活動の実施をする
危険予知活動は、現場作業のなかにひそむ危険要因とそれらが引き起こす事故を予測し、どのように対策すればよいかを検討する活動です。危険予知の訓練や対策を講じることで、危険に関する感受性が高まり、より安全に対する意識向上につながります。
現場での声掛け、挨拶を徹底する
作業員同士の声掛けや、挨拶の徹底も重要な取り組みです。コミュニケーションを図ることで情報共有が活発になるため、若手作業員のフォローや危険作業の呼びかけなどにつながって事故率を低下させます。
ヒヤリハットの共有をする
ヒヤリハットとは、一歩間違えれば重大な事故につながったかもしれないような事例のことで、「ひやり」とした「ハッ」としたことが名称の由来です。ヒヤリハットの事例を体験した場合や目撃した場合、作業者全員に共有することが事故発生を防ぐことにつながります。
防犯カメラの導入で安全管理をおこなう
建設現場の安全ルールが守られているか、危険な作業はないかといった安全パトロールの実施も有効です。しかし建設作業中、現場全体やすべての作業を管理するために多くの人員と時間を要することになります。
そこで現場に複数の防犯カメラを設定しておけば、現場の責任者が離れた場所にいてもいつでもようすをチェックできます。万が一危険な要因を発見した場合にも、注意喚起や事例の共有に活用できるようになります。建設現場に防犯カメラを導入することで、適切かつ効率的に安全管理を行えるようになり安全性の向上が期待できます。
防犯カメラやウェアラブルカメラを活用した安全対策について詳しく知りたい方は、お気軽にご相談ください。
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建設業の安全対策で防犯カメラを導入するメリット
建設現場の安全はさまざまな対策によって向上させる必要がありますが、防犯カメラを導入することでより安全性向上につながる多くのメリットがあります。とくに建設業の場合、防犯カメラはクラウドカメラを導入するのがおすすめです。
クラウドカメラはネットワークを介して撮影した映像をクラウド上に保存し、スマホやパソコンからライブ映像の視聴や過去映像の振り返りができます。そのため、以下のような活用が可能です。
安全確認が効率よくおこなえる
実際に現場まで足を運ぶことなく、いつでも遠隔から現場のようすをチェックできます。移動時間を削減し、効率よく管理者が現場をチェックできるようになり安全管理の精度を高められます。
ヒヤリハットや事例を迅速に共有
クラウドカメラの場合、複数のデバイスで映像を共有できます。そのため事故やヒヤリハットが起こった場合も早急に状況映像を共有でき、迅速な再発防止対策につなげられます。
特殊作業の見守りとフィードバック
特殊な作業の場合、管理者や本部がクラウドカメラを通してリアルタイムで見守りながら作業を進められます。危険な要因があればすぐに現場に指示を出せるため、安全に作業が進められます。また、第三者に作業をチェックしてもらいフィードバックをもらうことで、次回の作業にも活かせます。
【安全対策に防犯カメラを活用した事例を紹介】
「清水建設株式会社」様は防犯カメラを建設現場に設置し、進捗管理やイレギュラー有無のモニタリングに活用されています。
現場の管理職やリーダー職が、メインパソコンの横にサブパソコンを置いていつでもカメラ映像を確認できる状態にしています。普段以上に安全に注意したい高所作業や重機作業は、作業内容を振り返ってしっかりチェックします。必要に応じてスナップショットを撮影して、関係者に共有することもあります。さらに、特殊な作業は本部の安全部門にリアルタイムで確認してもらう運用もおこなっています。
建設現場での安全対策におすすめのカメラ
Safie(セーフィー)のクラウドカメラは、建設現場で安全対策に有効なカメラです。上記で紹介した企業様が活用されているカメラも、Safieのクラウドカメラです。ここでは、ウェアラブルタイプの「Safie Pocket シリーズ(セーフィー ポケット シリーズ)」と設置タイプの「Safie GO シリーズ(セーフィーゴー シリーズ)」のカメラを紹介します。
Safie Pocket シリーズ
Safie Pocket シリーズは、身体に装着しながら撮影できるウェアラブルカメラです。移動や作業をしながらでも撮影ができるようにコンパクトな設計であり、胸ポケットなどに取り付けられる仕様になっています。双方通話機能を備えているため、現場の作業員と遠隔から映像を確認する管理者が会話することも可能です。そのため、普段よりも安全に注意したい作業や特殊な作業の場合も、Safie Pocket シリーズのカメラを通してコミュニケーションを図りながら作業を進められます。
防塵防水性能も高く充電式バッテリーを内蔵、建設現場での使用に耐えうる機能を標準装備しています。三脚に固定すれば定点撮影も可能なため、多様な活用ができます。
Safie GO シリーズ
Safie GO シリーズは、現場でコンセントに挿すだけですぐに使える固定タイプのカメラです。
「PTZ」機能が備わったカメラの場合、カメラ映像を視聴するビューアーアプリから遠隔でカメラコントロールが可能です。カメラの水平・垂直・ズームの移動操作ができるため、確認したいエリアをスムーズにチェックできます。
また、広角レンズを搭載しているカメラ「Safie GO 360」であれば、広大な建設現場の確認に有効です。360°の広角映像で、現場状況を見落とすことなく撮影できます。
まとめ
建設業は重大な事故につながるリスクのある作業をおこなう必要があるため、安全対策が非常に重要です。さまざまな対策方法を講じる必要がありますが、クラウドカメラの導入で効率よく安全をサポートできます。
セーフィーは、上記で紹介した企業事例以外にも建設業界へ多数の提供実績があります。建設現場での安全性向上のためクラウドカメラの導入を検討される場合は、ぜひセーフィーまでお気軽にご相談ください。
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※ セーフィーは「セーフィー データ憲章」に基づき、カメラの利用目的別通知の必要性から、設置事業者への依頼や運用整備を逐次行っております。
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