冷凍倉庫の安全対策とは?管理するポイントまで詳しく解説

冷凍倉庫の安全対策とは? ポイントや具体例

冷凍食品や冷凍スイーツなどを保管するのに欠かせない冷凍倉庫では、安全対策が欠かせません。冷凍という環境のもとでは、転倒や落下事故、閉じ込められる事故など、命にかかわる事故も予想されるため注意が必要です。

本記事では、冷凍倉庫での安全対策について解説します。冷凍倉庫の火災や防犯に関する安全対策や、起こりやすい事故、安全に管理するポイントまでお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

冷凍倉庫とは

冷凍倉庫とは、−20℃以下で冷凍食品や商品を保管する倉庫のことです。物流倉庫は、温度帯により冷凍・冷蔵・常温の3種類に分けられます。−18℃以下の倉庫を冷凍倉庫、−18℃〜10℃の倉庫を冷蔵倉庫、それ以外の温度の倉庫は普通倉庫です。

さらに、冷凍倉庫と冷蔵倉庫といった低温倉庫は7つに分類されます。以下に、7つの分類を表にまとめました。なお、表記の「C」はチルドを、「F」はフローズンを意味します。

分類等級温度帯
チルドC3+10℃〜−2℃未満
C2−2℃〜−10℃未満
C1−10℃〜−20℃未満
  フローズンF1−20℃〜−30℃未満
F2−30℃〜−40℃未満
F3−40℃〜−50℃未満
F4−50℃以下

通常、冷凍倉庫は冷凍食品や魚介、肉、アイスクリームなどを保管するために利用されます。冷凍倉庫は、冷凍食品を長期に新鮮な状態で保管できるのがメリットです。ただし、食品ごとに最適な温度を維持したり、安全対策を施したりといったさまざまな管理が欠かせません。

冷凍倉庫に安全対策が必要な理由

冷凍倉庫に安全対策が必要な理由は、倉庫内が−20℃以下になる特殊な環境だからです。昨今では、夏になると40℃近くまで気温が上昇することがあります。

このような猛暑日では、外気と倉庫内の温度差は60℃近くになり、倉庫内で作業する従業員の体調管理が非常に難しくなることが予想されるでしょう。また、冷凍倉庫内に閉じ込められた人が死亡したケースもあり、厳重な安全対策が必要です。

ほかにも、火災や盗難に対しても安全対策を施さなければなりません。火災と防犯に対する安全対策については、次章で詳しくお伝えします。

冷凍倉庫に対する2つの安全対策

ここでは、冷凍倉庫における安全対策について、火災と防犯の2つの面から説明します。自社の商品を守るために、ここで紹介した安全対策を取り入れましょう。

火災に対する安全対策

冷凍倉庫に限らず倉庫火災が起きると、商品や材料が大量に燃えてしまい、大損害を被る可能性があります。とくに冷凍倉庫は、天井や内壁などの建材に断熱材が使われているため、火災が大きくなりがちです

火災に対する安全対策としては、次の3つが効果的でしょう。

  • スプリンクラー設備の設置
  • 防火シャッターの設置
  • 火災報知器の設置

火災が起きると、商品が燃えるだけでなく、倉庫自体が使えなくなり損害が大きくなってしまいます。火災が生じた場合に、すぐに感知できるような体制が必要です。

防犯に対する安全対策

防犯に対する安全対策も必要です。昨今の盗難は、複数人による大がかりなものが多くなっています。このような盗難に対する安全対策としては、防犯カメラが効果的です

最近の防犯カメラは、映像も鮮明で、暗闇でもきれいな映像を残せます。盗難の証拠として、映像を使うことも可能です。防犯カメラが設置されているだけで、犯罪の抑止力も高まります。

ナイトビジョン機能付きのカメラであれば暗所でも撮影可能
ナイトビジョン機能付きのカメラであれば暗所でも撮影可能

ただし、設置場所には注意が必要です。冷凍倉庫内に防犯カメラを設置する場合は、庫内の温度に対応している機種を選ばなくてはなりません。また、庫外に設置する場合も、扉の開閉によって発生した霧によって、映像が映りにくくなることも考えられます。

防犯カメラを設置する際には、専門家の意見を聞きながら設置するのがおすすめです。

冷凍倉庫内で起こりやすい事故

ここでは、冷凍倉庫内で起こりやすい事故を解説します。冷凍倉庫内で起こる可能性のある事故には、次の3つが挙げられるでしょう。

  • 転倒・落下事故
  • 冷凍倉庫内に閉じ込められる事故
  • 従業員の体調不良

次に、それぞれ解説します。

転倒・落下事故

冷凍倉庫内で起こりやすい事故として、転倒や落下事故があります。冷凍倉庫内は滑りやすいため、従業員が転倒し頭を強く打つこともあり注意が必要です。また、保管していた商品に霜がついたり結露ができたりすることで、持ち運びの際に滑らせて落下することもあります。重い荷物が足に落下すると、思わぬ怪我につながりかねません。

冷凍倉庫内で作業するときには、滑り止めのある安全靴を履いたり軍手をしたりして、事故を未然に防ぐことが大切です

冷凍倉庫内に閉じ込められる事故

まれに起きる事故として、冷凍倉庫内に閉じ込められる事故があります。閉じ込められた人が亡くなるケースも発生しており、このような悲惨な事故を防ぐために、さまざまな対策が必要です。

冷凍倉庫内で作業する際には複数人で作業にあたったり、異常事態をすぐに知らせる緊急連絡装置を設けたりしなければなりません。また、倉庫内の人の動きを察知する電波発信器なども効果的です。

従業員の体調不良

冷凍倉庫内で起こる事故には、従業員の体調不良も挙げられるでしょう。−20℃以下という厳しい環境のなかでの作業では、従業員が体調不良に陥ることがしばしばあります。そのため、防寒対策が重要です。

防寒対策なしに冷凍倉庫に入ると、身体のさまざまな部位に不調をきたします。冷凍倉庫内で作業するときはしっかりと防寒対策を施し、短時間で作業を終えるなどの対策が必要です

冷凍倉庫を安全に管理するポイント

ここでは、冷凍倉庫を安全に管理するポイントについて解説します。管理するポイントは、次の5つです。

  • 冷凍倉庫内に通報機を設置する
  • 温度管理を適切に行う
  • 作業しやすい動線を確保する
  • 倉庫内の霜や湿気対策を施す
  • 低温対応の器具を揃える

それぞれのポイントについて詳しく解説します。

冷凍倉庫内に通報機を設置する

国土交通省の倉庫業法施行規則等運用方針によると、冷凍倉庫内での事故を防ぐために通報機の設置が義務づけられています

通報機とは、冷凍倉庫に閉じ込められた人が助けを求められるように設置される非常ベルや電話機、その他の設備のことです。これらの通報機には、冷凍倉庫のなかでも作動する性能が求められます。また、暗闇でも通報機がどこにあるのかわかるように、灯火の設置も必要です。

出典:“倉庫業法施行規則等運用方針”.国土交通省,p-52.2002-3-28.(参照:2024-8-19)

温度管理を適切に行う

適切な温度管理も、冷凍倉庫の管理には必要です。倉庫内の温度を維持するには、エアコンや温度計の設置が有効でしょう。倉庫全体を均一に冷却することで、冷凍倉庫内の商品の質を確保できます。

作業しやすい動線を確保する

作業しやすい動線の確保も、冷凍倉庫の安全管理には重要です。とくにピッキング作業では、目的の商品を見つけるために、冷凍倉庫内を移動しなければなりません。作業時間を短くするために、わかりやすく商品を並べたり、動きやすいように通路を設けたりする必要があります

作業しやすい動線がきちんと確保されていれば作業効率が上がり、商品を円滑に出荷することが可能です。また、冷凍倉庫内で働く作業員の健康にも配慮できます。

冷凍倉庫内の霜や湿気対策を施す

倉庫内の霜や湿気対策を施すことも大切です。床や壁、天井には断熱性の素材を使い、倉庫内の温度を一定に保ちましょう

霜や湿気による結露が発生すると、雑菌が繁殖しかねません。この雑菌が食品や商品につくと、衛生上問題が生じる可能性があります。冷凍倉庫内で、霜や湿気が生じないように注意しましょう。

低温対応の器具を揃える

冷凍倉庫を安全に管理するために、低温対応の器具を揃えなければなりません。通常の温度下で使われるコンピューターや器具では、すぐに故障するおそれがあります。−20℃の氷点下でも問題なく作動する器具を揃えることが大切です。

倉庫内で使われるフォークリフトについても、氷点下に耐えうるものを揃える必要があります。

冷凍倉庫の安全対策には、防犯カメラの導入がおすすめ

冷凍倉庫内は、−20℃以下という特殊な環境のため、さまざまな安全対策を施す必要があります。とくに人が閉じ込められる事故は、命にかかわるため十分に注意しなければなりません。

また火災や盗難に対しても、安全対策が必要です。火災については、火災の発生を早期に察知する機器の設置が効果的でしょう。盗難については、防犯カメラが役に立ちます。防犯カメラは人の出入りも管理できるため、人が閉じ込められる事故にも有効です。冷凍倉庫の安全対策に、防犯カメラを導入してみてはいかがでしょうか。

セーフィーでは、豊富な実績をもとに、お客様が解決したい課題に合わせた最適な防犯カメラの提案ができます。防犯カメラの設置をご検討の際は、お気軽にお問い合わせください。

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