スマートグラスとウェアラブルカメラは、どちらもハンズフリーで撮影できるウェアラブル端末です。装着場所や視点などに違いがあります。
今回は、スマートグラスやウェアラブルカメラの導入を検討している方に向けて、両者の違いやできること、活用シーン、選び方などを解説します。
現場で大活躍するウェアラブルカメラ
目次
スマートグラスとは
スマートグラスとは、メガネのように耳にかけて使用するウェアラブル端末のことです。メガネにディスプレイが搭載されており、映像コンテンツを楽しんだり、目の前の光景に情報を重ねて表示できたりします。
スマートグラスには片目タイプと両目タイプがあります。片目タイプは片方にしかディスプレイがついていないため、視界を広く確保できるのがメリットです。一方、表示面積が小さくなるため、文字や画像が見えにくくなります。
両目タイプは、ディスプレイが両目についているため、表示内容が見やすいという特徴があります。ただし、片目タイプより重くなってしまうのが難点です。
ウェアラブルカメラとは
ウェアラブルカメラとは、頭や胸ポケットなどに装着して撮影できるカメラのことです。ヘルメットやヘッドセットに装着して撮影することで、その人が見ている光景をハンズフリーで撮影できます。
映像を撮影するだけではなく、遠隔地とのコミュニケーションも可能です。現場の状況をリアルタイムで遠隔地に共有できるため、建設現場や製造現場などで幅広く活用されています。
スマートグラスとウェアラブルカメラの違い
スマートグラスとウェアラブルカメラの違いを3つの視点で解説します。
装着場所
まずは装着場所の違いです。スマートグラスはメガネのようにかけて使うものであり、装着場所が限定されています。
一方、ウェアラブルカメラは頭や肩、胸ポケットなどに装着して使い、装着場所ごとに幅広い種類があるのは特徴です。メガネの横にカメラがついているタイプもあります。
また、ウェアラブルカメラの中には、幅広いマウントに対応したタイプもあり、シーンに応じて装着場所を選べるのが魅力です。
映像の視点
映像の視点も異なります。スマートグラスは、メガネをかける位置から撮影するため、装着者の目線映像を撮影できます。
一方、ウェアラブルカメラは装着場所によって視点を変えることが可能です。ヘルメットにつければ装着者(作業者)が見ている光景全体を、胸ポケットにつければより手元にフォーカスした映像を撮影できます。
AR機能
AR(拡張現実)機能の有無も大きな違いです。スマートグラスにはAR機能がついているものもある一方、ウェアラブルカメラにAR機能は搭載されていません。
AR機能とは、現実世界にナビゲーションや動画といったデジタルコンテンツを重ねて表示させる機能のことです。AR機能が搭載されたスマートグラスなら、作業者が見ている風景にマニュアルや指示を重ねて表示させられます。
なお、ウェアラブルカメラの中にAR機能は搭載されていませんが、ディスプレイがついているものもあります。
スマートグラスやウェアラブルカメラでできること
ここでは、スマートグラスやウェアラブルカメラを使ってできることについて見ていきましょう。
写真・動画の撮影と共有
スマートグラスやウェアラブルカメラは、写真や動画をハンズフリーで撮影して共有できます。わざわざカメラを手持ちする必要がなく、作業者が見ている景色を作業しながら撮影できるのがメリットです。スマートグラスやウェアラブルカメラを使えば、現場で作業者が見ている景色を遠隔地にリアルタイムで共有できます。
ウェアラブルカメラの場合は、作業者の手元映像の撮影だけではなく、定点カメラとしての利用も可能です。現場のポイントごとにウェラブルカメラを置くことで、現場全体の様子を遠隔地にある本部が確認できます。
撮影データの確認
クラウドと連携させられるスマートグラスやウェアラブルカメラであれば、撮影データの確認も可能です。撮影した写真や動画を、クラウドに保存して後で確認できます。
熟練技術者の手元映像を教材やマニュアルとして活用したり、トラブル発生時の現場の様子をチェックしたりする際に活用できるでしょう。
音声通話・チャット
スマートグラスやウェアラブルカメラの中には、ハンズフリーでの音声通話や簡単なメッセージのチャットが可能な製品も多いです。管理者や熟練技術者が遠隔地にいる場合でも、わざわざ現場に赴くことなく、その場で作業者に指示を出せます。
また、トラブル発生時には映像と音声で状況をリアルタイムで共有できます。遠隔地にある本部から指示を受け、迅速に対応できるでしょう。
マニュアルや画像などの表示
ディスプレイが搭載されているスマートグラスやウェアラブルカメラなら、ディスプレイにマニュアルや画像などを表示させられます。複雑な作業手順も、マニュアルや画像を使ってわかりやすく作業者に説明できるのがメリットです。
マニュアルや手順を確認しながら取り組めるため、経験が浅い作業者でも安心して正確な作業ができます。
スマートグラスやウェアラブルカメラの選び方
スマートグラスやウェアラブルカメラには多くの製品があるため、利用用途に応じて使いやすいものを選ぶことが大切です。
装着場所
1つ目は、装着場所です。スマートグラスなら目の位置、ウェアラブルカメラならヘルメットやメガネの横、ポケット、ベルトなどに装着できます。装着しても作業の邪魔にならず、ストレスフリーで撮影できるかを確認しましょう。
状況に応じて装着場所を変えたい場合は、さまざまな場所に装着できるウェアブルカメラがおすすめです。
ズーム機能
2つ目は、ズーム機能の有無です。ズーム機能が搭載されているスマートグラスやウェラブルカメラであれば、対象物にわざわざ近づくことなく遠くから撮影できます。
特にスマートグラスの場合は、ズーム機能が搭載されていないものも少なくありません。
また、ズーム倍率も製品によって異なります。撮影時の利便性を求める方は、ズーム機能の有無や倍率をチェックしましょう。
リアルタイムでの情報共有
3つ目は、リアルタイムで情報共有できるかです。リアルタイムで情報を共有したい場合は、通信機能がついているものを選びましょう。
クラウドカメラなら、カメラで撮影した映像や音声を常にクラウド上にアップロードしてくれます。そのため、リアルタイムでのデータ共有が可能です。
また、通話機能やチャット機能が搭載されているものであれば、現場の状況や本部からの指示をその場で共有できます。
手ぶれ補正機能
4つ目は、手ぶれ補正機能の有無です。特に移動しながら作業することが多い建設現場で使用する場合は、手ぶれ補正機能がついているものを選びましょう。作業者が動いていても、見やすい映像を問題なく撮影できます。
また、映像の揺れが抑制されるため、長時間の撮影や映像チェックにも適しています。製品によって手ぶれ補正性能は異なるため、導入前に映像のサンプルをチェックすることがおすすめです。
耐熱温度
5つ目は、耐熱温度です。真夏の建設現場や高温の機械を扱う現場などで使用する場合は、耐熱温度のチェックも欠かせません。
カメラの耐熱温度は、種類や製品によって異なります。たとえば、屋外で使用する防犯カメラの場合は-10〜55度程度が目安です。中には、100度以上の高温に耐えられるものもあります。
特殊な環境でも問題なく使用できるよう、耐熱温度をチェックしましょう。「耐温度」と記載されているものを選ぶと安心です。
防水・防塵性能
6つ目は、防水・防塵性能です。幅広い場面でスマートグラスやウェアラブルカメラを使いたい場合は、防水・防塵性能が高いものを選びましょう。防水・防塵性能は、耐久性に関わる重要なポイントです。特に、建設現場や製造業でスマートグラスを使う場合は、粉塵によってスマートグラスが故障したり、視界不良になったりする恐れがあります。
カメラの防水性や防塵性を確認する際は、IP規格をチェックしましょう。IP規格は「IP〇〇」と表記されており、1桁目は防塵性能、2桁目は防水性能を表す数値です。防塵性能は0〜6、防水性能は0〜8で表されます。それぞれ数字は大きい方が保護度合いが高く、耐久性に優れていると判断できます。
ウェアラブルカメラならIP67の防水防塵、手ぶれ補正機能付きの「Safie Pocket シリーズ」がおすすめ
ウェアラブルカメラであれば、手ぶれ補正機能や音声通話機能付きの「Safie Pocket(セーフィー ポケット) シリーズ」がおすすめです。LTE通信機能付きのためカメラ単体でクラウド録画が可能。離れた場所からリアルタイム映像の視聴もできます。
モデル | 画像 | 特長 | 防水防塵 |
---|---|---|---|
Safie Pocket2 | シンプルな機能構成のエントリーモデル | IP67 | |
Safie Pocket2 Plus | 遠隔業務に必要な機能をフルパッケージ | IP67 |
特徴その1:厳しい環境でも撮影可能な本体性能
「Safie Pocket シリーズ」は、IP67の防水防塵性能をもち建設現場など過酷な屋外環境でも利用可能。充電式バッテリー内蔵で最大8時間の連続稼働ができます。
特徴その2:カメラ単体でクラウド録画や通話ができる
LTE通信機能を搭載しており、カメラ単体でクラウド録画が可能。映像はパソコンやスマートフォンからいつでもどこからでも視聴できリアルタイムに情報共有ができます。グループ通話機能も付いているので、遠隔から撮影映像を視聴しながら撮影者との会話もできます。
特徴その3:フルHDの高画質、手ぶれ補正機能付き
映像はフルHDの高画質のためスケールの数値などもしっかり読み取れます。また、手ぶれ補正機能を使えば歩きながら撮影した映像も見やすく、LEDライトをオンにすれば光量の足りない現場や暗い時間帯でも撮影が可能です。
※手ぶれ補正機能は「Safie Pocket2 Plus」のみに搭載
手ぶれ補正映像の比較
スマートグラスやウェアラブルカメラの活用シーン
スマートグラスやウェアラブルカメラの具体的な活用シーンを5パターン紹介します。
遠隔作業支援・遠隔管理
スマートグラスやウェアラブルカメラは、遠隔作業支援や遠隔管理に活用できます。遠隔作業支援とは、現場の映像を遠隔地にいる責任者や熟練者が確認し、その場で指示を出すことです。
スマートグラスやウェアラブルカメラを活用することで、責任者や熟練者が現場にいなくても指示を出せます。事故やトラブルが発生した際も、遠隔からすぐに指示を出せるため、ダウンタイムを短縮できるのが魅力です。また、ウェアラブルカメラなら定点カメラのようにも使えるため、遠隔地にある本部が現場全体の状況を確認でき、遠隔管理も実現できます。
遠隔臨場
スマートグラスやウェアラブルカメラは、遠隔臨場にも活用されます。遠隔臨場とは、建設現場において離れた場所から臨場を行うことです。国土交通省が取り組む「i-Construction」を実現するため、遠隔臨場が推進されています。具体的には、材料確認・段階確認・立会を遠隔で行うことと定められています。
現場臨場の代わりに遠隔臨場を利用するためには、ウェアラブルカメラのような動画撮影用のカメラとWeb会議などのシステムを利用することが必要です。スマートグラスやウェアラブルカメラを使えば、工程ごとに品質管理を滞りなく行えるため、工期に間に合わせやすくなります。
スマートグラスやウェアラブルカメラで遠隔臨場を進め、建設業の生産性向上を目指しましょう。
※参考:国土交通省「i-Construction」と国土交通省|建設現場における遠隔臨場に関する実施要領(案)令和5年3月の情報を基に記載
遠隔臨場については、以下の記事で詳しく解説しているため、併せて参考にしてください。
作業の様子の記録や品質管理
作業の様子や現場の状況を撮影して記録しておけるため、作業者が問題なく作業しているかを確認できたり、進捗を管理できたりします。万が一事故やミスが起こった際は、映像を見返すことで原因を特定できるでしょう。
遠隔地に工場がある場合は、製品の様子を撮影・共有してもらうことで、リアルタイムで品質管理を行えます。特に、海外に工場がある場合は、海外から製品が届く前に品質をチェックできるため安心です。
技術やノウハウの継承
熟練者の作業手順を記録しておくことで、技術やノウハウの継承にも役立ちます。建設業や製造業では、熟練者の経験や技量に頼らざるを得ないケースも少なくありません。高齢化が進んでいる昨今では、熟練者が持つ技術やノウハウをいかに継承するかが課題となっています。
技術やノウハウを言語化するのは容易ではありません。スマートグラスやウェアラブルカメラで熟練者の手元を撮影し、その動画を教材にすることで、人材育成に役立ちます。
スマートグラスとウェアラブルカメラの違いを理解して導入しよう
スマートグラスとウェアラブルカメラは、どちらも体に装着してハンズフリーで撮影できるウェアラブル端末です。スマートグラスはメガネのように装着する一方、ウェアラブルカメラは装着場所ごとに多くの種類があるのがポイントです。1台でさまざまな場所に装着できるウェアラブルカメラも存在します。
スマートグラスやウェアラブルカメラは、特に建設現場や製造現場などで活用が進んでいます。それぞれの違いを理解したうえで、現場に合った使いやすいものを導入することが大切です。うまく使えば、業務効率化や品質向上を実現できるでしょう。
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