「オフィス内の特定のスペースがほとんど使われていない……」
こんな悩みをお持ちの企業担当者も多いのではないでしょうか?
セーフィーでは、使われていない社内スペースの有効活用をするべく、自社内で検証を実施。クラウドカメラ「Safie One(セーフィーワン)」とAIアプリケーション「AI-App 人数カウント」を活用したデータ検証を通じ、空きスペース利用者数を驚異の17倍に増加させることに成功しました。
本記事ではどのようにカメラを活用し、データを基にした「データドリブン」なオフィス改革を実現したのかを具体的にご紹介します。オフィス改善に取り組む方はもちろん、カメラの映像データを具体的にどのように活用するのか興味がある方も、ぜひ参考にしてみてください。
目次
本検証の立役者:和田啓介(わだ・けいすけ)さん
経営管理本部 人事総務部 総務グループ所属。オフィス内の困りごとの解決を日々行っています。プライベートでは大のゲーム好き。休日は撮影会・即売会のスタッフ対応もしています。ピアスなどのアクセサリー制作が趣味です。
「使われていない社内スペース」について
今回のテーマである「使われていない社内スペース(以下「スペース」と記載)」とはどういう場所か、最初に説明します。
このスペースは、1人掛けの席×小さなテーブルのセットが4つ、一直線に設置された場所です。個々のセットはゆったりと配置され、比較的広めに場所をとっています。
セーフィーの本社は以前、別の場所にあり、この単体の席とテーブルは前オフィスからの転用です。前オフィスでも同様のレイアウトで設置され、主に商談や打ち合わせ、昼食休憩などで使われていました。そのため、現在のオフィスへの移転当時も特に用途を指定せず、社員の方々には自由に使ってもらい、そのうえでどういう場所と定義するか考えようと思っていたそうです。
また移転当時、このスペースを設けるエリアには本棚と読書エリアが隣接していたことから、社員が「本を読む場」として活用することも考えていたとのこと。
しかし、実際にどのくらいの社員がこのスペースを使っているのか・社員は読書で活用しているのか社内カメラで見たところ、「このスペース、全然使われてないじゃん…」という悲しい結果に。そこで、今回の仮説・検証を実施することになりました。
映像データから分かった課題と仮説立て
和田さんがこのスペースの録画映像を確認し、このスペースに関して改めて状況を整理した結果、以下3点の課題が挙がりました。
- スペースの利用者が少なく、この場所が有効活用されていない
- そもそもオフィスで本を読む習慣がないので、読書のために利用する社員がいない
- 読書云々の前に、この場所は「本を読む場所」として認識されてない可能性が高い
この3点から、以下の2つの仮説をたてました。
- 複数人で利用できるスペースのほうが、需要は高いのではないか?
- 「休憩(読書利用も含む)×作業」のスペースではなく、「ミーティング×作業」のスペースにして属性を統一したら、利用者増加になるのではないか?
それでは、仮説を基にレイアウト変更を実施していきましょう。
仮説を基にレイアウト変更を実施
立てた仮説からレイアウト変更を実施するにあたり、次の2つのポイントにおいて刷新を行いました。
1の仮説をレイアウト変更に活かした点として、1人掛けの席×小さなテーブルのセット4つを撤廃して、向かい合わせの6人掛けのテーブルを2つ設置しました。
そして2の仮説をレイアウト変更に活かした点として、作業用スペースとしての認知につながるよう、モニターを設置しました。
1人掛けの席×小さなテーブルのセット4つが配置された以前のスペースは執務室内の一角を占めていたものの、かねてから「近くにいる社員が集まって打ち合わせできる場所がない」という問題を抱えていました。
こうした背景もあり、「ミーティングできる場所があれば使われるのではないか?」と仮説をたて、モニターは会議・打ち合わせなどの用途のために設置しました。
【結果】スペースの利用者数が大幅にアップ!
それでは、Safie Oneにオプション追加できるAIアプリケーション「Ai-App 人数カウント」で取得したデータを基に、結果をご紹介していきましょう。
「Ai-App 人数カウント」には、人の立ち入りを検知して人数を自動集計する「立ち入りカウント」機能をはじめ、3つの機能が搭載されています。集計する際は、映像上にエリアやラインを引いて設定し利用します。
今回の検証では、単にエリアに立ち寄っただけの人が「スペースを利用した人」として計測されないよう、「10分以上滞在した人」を利用者として定義し、スペースの利用時間の最小単位を10分間としています。
なお計測期間として、レイアウト変更前は2024年6月1日~6月30日(休日以外の20日間)、レイアウト変更後は2024年7月29日~8月31日(休日、お盆以外の21日間)でそれぞれ設定しました。
最大利用者数(1日にスペースを利用した最大人数)
まずは「最大利用者数(1日にスペースを利用した最大人数)」の前後を見ていきましょう。左側がレイアウト変更前(最大容量4人。1人掛け椅子×4つ)、右側がレイアウト変更後(最大容量12人。6人掛けテーブル×2つ)です。
レイアウト変更前は、1日に最大でも2人までしか使われておらず、まったく利用者がいない日が多くあることもわかります。「利用者合計数÷20日」により算出した期間平均では「0.6人」という結果です。これでは、広いエリアを占めているにもかかわらず、あまりにもスペースの使い方としてもったいないでしょう。
レイアウト変更後は1日に最大6人が使っている日もあり、少なくても1日に2人は活用していることが分かります。「利用者合計数÷21日」により算出した期間平均では「3.3人」という結果です!では、いったい何人の社員が累計でこのスペースを活用したのでしょうか?
累計使用人数(1日にスペースを利用した累計人数)
上のグラフは「累計使用人数(1日にスペースを利用した累計人数)」を示しています。累計利用者数になると、よりレイアウト変更による影響が分かるのではないでしょうか?
レイアウト変更前と変更後の数値を見ると、利用者数の増加が顕著であることが見て取れるでしょう。1カ月でわずか16人しか利用していなかったスペースが271人に増加し、なんと約17倍です。
また、変更前は1日最大4人だったものの、変更後は1日最大31人という日もあり、レイアウト変更後は多くの社員がこのスペースを活用していることが想像できます。次に時間帯による変化を見てみましょう。
時間帯別平均
レイアウト変更前は夕方の時間の使用に偏っているものの、変更後は幅広い時間帯で利用されるようになっていることもデータから分かります。レイアウト変更後は主に会議での利用が多く、ランチの時間帯での利用者は多くありませんが、それでもどの時間帯にも万遍なく利用者がいることが一目瞭然です。
利用者増加でスペースの有効活用は大成功!
カメラ映像とAI技術の活用で社内のスペースのムダが分かり、それを踏まえた仮説立て・検証を通して、使われていないスペースの利用者数が17倍に増加したことがお分かりいただけたと思います。
実際、和田さんがレイアウト変更後にこのスペースの使用感について複数社員に聞いたところ、
「会議スペースになってから使うようになった。会議できる場所があるのはありがたい」
「飲食しやすく、作業しやすくなった!」
といった、まさに狙い通りの結果ともいえるコメントを得られたそうです。ただその一方では、
「会議スペースになったことで気軽に使いにくくなってしまった…」
といった意見もあったそうで、レイアウト変更が新たな課題を生むことも示唆されたといえます。今後も、社内カメラの映像データを活用した、さらなる改善は続くことでしょう。
Safieの映像データは防犯目的だけでなくオフィス改善にも活用できるうえ、カメラ映像×AI技術による分析はマーケティングにも活用可能です。ぜひ参考にしてみてください。
こちらの記事の続編では、より「データ分析」に特化してお届けします。
特にオフィスのように複数台のカメラ設置がある場所だと、それらのデータをまとめて閲覧したり分析したりすることは簡単ではなく、データを管理する側が「使いやすい」「見やすい」ようにすることも大切といえます。続編ではその点に特化し、社内の分析において課題だった点と、そこからの改善点をわかりやすくご紹介します!
【ご紹介】検証に使用したカメラとアプリ
今回の検証で使用したカメラとアプリケーションについて、最後にご紹介します。
検証では、エッジAI搭載のクラウドカメラ「Safie One(セーフィーワン)」と、同カメラにオプション追加できるアプリケーション「AI-App (アイアップ)人数カウント」を使用しました。
Safie Oneは高画質・高感度のクラウドカメラで、エッジAIにより人だけを検知してお知らせする「人検知機能」をはじめ、各種機能が標準搭載されています。コロンとした可愛らしいフォルムと、工事不要で簡単に設置できるのが特長です。
Safie Oneにオプション追加できるアプリケーションの「AI-App 人数カウント」を組み合わせることで、「立ち入り検知機能」「通過人数カウント機能」「立ち入りカウント機能」の3つの機能を利用できます。データは防犯だけでなくマーケティングに活かすこともできます。
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- かしこくなるAIカメラ「Safie One」
- エッジAIを搭載し、計測・検知を行うことで映像解析をより便利にします。