建設業界は残業時間が多い業界といわれています。とくに現場監督の残業の多さは慢性的な問題であり、解決が難しいと悩みを抱えている現場監督の方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では現場監督がなぜ残業が多いのかを解説し、残業時間を減らすための必要なポイントを紹介します。
目次
現場監督の残業時間が多い理由とは?
建設業界はそのほかの産業と比較して残業時間が多いといわれています。そのなかでもとくに現場監督の残業時間は高い水準ですが、その理由は以下が関係しています。
1. 現場以外の業務も兼任しているため
現場監督は現場だけの業務だけではなく、そのほかに関連する事務作業も兼任しています。工事の進捗状況や建物の品質チェック、作業員の安全性などさまざまな観点から管理をおこないます。そして報告資料の作成や資材の発注などの事務作業もこなさなければなりません。
しかし工事現場で作業が進行している時間帯は監督業務をおこなわなければならず、デスクワークは事務所に戻ってから夜間に取り組む必要があり、長時間労働が常態化しているという問題があります。
さらにいくつも現場を抱えていたり現場が離れていたりすることも多いため、事務所と現場の移動時間だけでも残業が増える原因です。
2. 人材不足により業務量増加のため
労働者減少により建設業界でも人材不足の課題を抱えています。またほかの業界に比べて若者の就職希望者が少なく、建設現場の主力人材は高齢化しているという問題もあります。
しかし人員が足りていない状況でも品質や納期は守る必要があり、現場監督一人ひとりの業務量が増えています。
監督業務や事務作業などこなす業務量も多いため、若手の人材育成に時間を割けない、若手が少なくスキルやノウハウの伝承ができないといった負の連鎖につながっている状態です。
3. 突発的なトラブルによる工期調整が必要なため
現場監督は工期が遅れないように、突発的なトラブルにも対応しなければなりません。工事現場は悪天候や資材不足といった事態も起こりやすい一方で、工期を守って完了させることが求められます。
工期が遅れた分、スケジュール調整やリソースの再配置などをおこない対策を立てる必要があります。遅れを取り戻すために業務時間外や休日出勤せざるを得ないこともあり、残業時間が増加してしまうのです。
2024年4月から時間外労働の制限が設けられる
法改正に伴う長時間労働の是正は、多くの業界ではすでに施行されています。猶予期間が設けられていた建設業界でも、2024年4月から運用が始まっています。
もともと労働基準法では、使用者が従業員に対して「法定労働時間(1日8時間・1週間40時間)を超えて労働させてはならない」「法定休日(毎週少なくとも1回の休日)を付与すること」が定められています。
しかし、36協定を締結すれば「最大で月45時間、年360時間以内」の時間外労働が可能で、臨時的な業務量増加の可能性がある場合は「特別条項付き36協定」を締結すれば年6か月までは上限なく時間外労働が可能だったのです。
2024年4月から特別条項付き36協定は法改正によって上限が設けられ、違反した企業には罰則が科せられるようになっています。時間外労働の上限ルールは以下のとおりです(※1)。
【36協定】
- 時間外労働時間の上限は月45時間、年360時間が原則
【特別条項付きの36協定】
- 時間外労働は年720時間以内
- 月単位では時間外労働と休日労働の合計が100時間未満
- 時間外労働と休日労働の合計は2~6ヶ月の月平均が80時間以内
- 時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6回まで
※1 出典:”労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)”.e-Gov法令検索.2024-4-1(参照 2024-5-27)
これまで事実上は制限がなかった時間外労働に対し、2024年4月から上限が設けられているため、現場監督の残業時間が軽減されます。
残業時間が減ることは喜ばしい一方で、会社としては従業員の残業時間を超過させないように適切に管理することや、限られた時間内で業務を回すことが求められます。生産性を落とさないように作業効率の向上できる方法を検討し、対策しなければなりません。
現場監督の残業時間を減らすための方法
残業時間を減らし作業効率をよくするための方法を紹介します。
まずは残業につながる要素を洗い出す
目先だけで残業時間を減らす対策を講じても効果が薄いため、業務の分析をおこなうことが重要です。そのためまずは残業につながる要素を洗い出してみましょう。
現場監督の業務だけでなく会社全体や従業員を含めて、業務の無駄になっていることはないか、残業につながる要素はなにがあるかを調査します。
調査方法は、業務を書き出して可視化する方法や、従業員からのアンケートなどが有効です。残業の要素となる業務や改善の余地がある業務を見つけ出し、それらの業務をどのようにして効率化を図るかを具体的に検討します。
人材の見直し、増員をおこなう
残業につながる要素を洗い出して、必要に応じて人材の見直しと増員をおこないます。残業しなければ業務をこなせないということは、人員が不足しており一人あたりの業務量が増えていることが大きな原因です。
とはいえ建設業は人材不足の問題を抱えているため、新たな人材確保はスムーズにいかない可能性が高いです。人的リソースに頼らない方法を用いて、作業の効率化を図る取り組みが重要となってきます。
ツールの導入で業務の効率化を図る
少ない人数で業務効率化を図るためには、ツールの導入がおすすめです。たとえば、施工管理アプリやクラウドカメラがあります。
施工管理アプリ
施工管理アプリは建設現場に特化した便利な機能が備わったアプリです。データを一元で保存でき、案件ごとの写真整理やスケジュール管理、報告書の作成・承認機能などができるさまざまなアプリが展開されています。
図面や報告書、写真などの資料をすべて紙媒体で管理している場合、これらを電子管理するだけで作業負担を大きく軽減できます。
アナログで管理していた資料をアプリ上に保存できれば離れた場所でもスマホやパソコンからいつでもアクセスできるので、わざわざ事務所に戻らなければならない処理作業を減らせます。
また関係者が同じデータにアクセスできるため、印刷して提出したりメールで送ったりする必要がなくデータ共有や報告作業がスムーズになります。
クラウドカメラ
クラウドカメラは撮影した映像をクラウド上に保存して、スマホやパソコンからリアルタイムに視聴できるカメラです。どこにいてもいつでも現場をチェックできるため、施行管理アプリと同じく移動時間の削減が可能です。
また多くの現場を管理しなければならない状況でも複数台のカメラを一括で管理できるため、少ない人数でも管理体制を整えられます。
通話機能が備わっているクラウドカメラであればリアルタイムで映像を確認しながら会話が可能なため、現場からの確認や相談に迅速に対応でき、作業員のフォローや教育にも役立ちます。
施工管理アプリやクラウドカメラなどのツールを導入して、データのデジタル化や遠隔からでも管理業務できる体制構築が必要です。
建設業界におけるクラウドカメラの活用方法はこちらをご覧ください。
まとめ
現場監督は多くの業務を抱えており、人材不足にも悩まされています。長時間残業の解決に向けて業務効率を図るため、ツールの活用は必要不可欠です。とくにクラウドカメラは有効活用できるシーンも多く、導入も簡単なのでおすすめです。
クラウドカメラを導入することで作業員や現場をいつでも見守ることができ、安全性や品質向上が期待できるとともに現場監督の有効な時間も増加します。
セーフィーはクラウドカメラの映像をもとに企業様の課題を解決する、映像ソリューションを提供しています。
建設企業様の導入実績も多数あるため、クラウドカメラの導入を検討される方、クラウドカメラの活用方法や必要な機能などにお困りの方はぜひセーフィーまでご相談ください。
- オンラインでのご相談
- 入力項目はたった5つで簡単に予約可能!
- お客様の課題や目的に合ったカメラの活用方法について、事例と併せてご提案します。
- お気軽にご相談ください。