介護業界は、高齢者の増加や人材不足といった理由から、業務改善が重要な課題となっています。今後はより省人化を図り、少ない介護スタッフで作業効率とサービス品質を向上させていく必要があります。今回の記事では、介護業界の業務改善に向けて必要性や進め方を解説し、具体的なアイデアも紹介します。
目次
介護業界の業務改善の必要性
介護業界での業務改善が必要とされている理由に、「人材不足の深刻化」と「介護需要の増加」があります。それぞれ詳しく解説します。
介護人材の不足が深刻化
少子高齢化による労働人口不足の問題は、さまざまな業界でも人材不足につながっています。とくに介護業界において人材不足は、長年深刻な課題を抱えています。
人材不足が原因となり業務改善や人材育成を進められない施設が多く存在するため、一人あたりの業務負担の割合は増える一方です。働きやすい環境作りが十分に構築できず、介護スタッフのモチベーション低下や離職率の向上の要因となり、さらに人材不足の問題を悪化させるという負の連鎖にも陥ってしまいます。
このような負の連鎖を断ち切るためにも、業務改善をおこない業務の効率化と働きやすい環境作りに取り組む必要があります。
介護需要が年々増加
介護業界が人材不足の課題を抱える一方で、介護需要は大きく増加しています。高齢化に伴い要介護者の上昇に加え、核家族の増加で家庭内での介護が難しくなることも介護施設の利用者が増える要因となっています。
今後ますます介護需要が高まるなか、人材不足の問題もあることから介護サービスの品質を維持することがさらに難しくなります。少ない人員でサービス品質を維持するためにも、生産性の向上を実現できる業務改善が重要になります。
介護業界が業務改善をおこなうメリット
介護業界の業務改善は重要視されており、実現できれば以下4つのメリットにつながります。
介護スタッフの離職防止につながる
業務改善をおこない職場環境や体制が整えられれば、従業員の離職防止につながります。業務の効率化が図れるようになり、介護スタッフ一人ひとりの業務負担が軽減できます。残業時間や疲労の軽減につながり、ワークライフバランスの実現も可能になります。
長く続けて働きたいと思えるような職場環境が整うことで、モチベーション維持や離職率の低減にもつながります。
スタッフ間のコミュニケーションが活性化する
介護スタッフは施設の利用者と向き合うだけでなく、多くの関係者と関わりがあります。そのため、人間関係の悩みによって離職につながっている実態もあります。要介護者の家族や、連携が必要な医師や看護師、栄養士、一緒に働くスタッフまで人間関係は多岐に渡ります。
人間関係の問題は、容易には解決できるものではありません。そのため、ツールなどを導入して職場や業務の面から改善を図り、コミュニケーションの問題を解消する必要があります。
業務改善でスタッフ間の情報共有や、連絡事項がスムーズになるような仕組みを構築できれば、ストレスの軽減や離職の防止につながります。また、スタッフ間のコミュニケーションがより活性化され、スタッフのモチベーションや働きやすい職場を実現できます。
介護ケアの品質が向上する
介護業界の業務改善は、介護ケアの品質向上ができる点もメリットです。介護業界では介護スタッフ一人ひとりの業務負担が増加しており、介護品質の低下が懸念されています。
業務改善が実現し、人材育成にも力を注げるようになれば、介護スタッフのスキルアップを目指すとともに介護の品質の向上が期待できます。利用者の満足度にもつながることで施設の利益も見込めるようになり、さらにはスタッフの待遇改善も期待できるといった好循環が期待できます。
採用コスト、教育コストの削減につながる
業務改善に取り組むメリットとして、採用コストと教育コストの削減につながる点も挙げられます。労働人口不足が原因で人材採用のハードルは高まり、各社でも力を入れて採用活動をおこなっています。しかし、人的リソースやコストを投じて人材採用をおこなっても、労働環境などが問題ですぐに離職してしまうと、採用や教育に時間とコストをとられるだけです。
業務改善をおこない、働きやすい職場作りを実現することで離職原因の問題を解決でき、結果的に採用・教育コストの削減にもつながります。
介護業界が業務改善するための3つのSTEP
業務改善を進めるための3つのSTEPを紹介します。
【STEP1】課題を可視化する
まずは、介護業界の課題を可視化することから始めます。目の前の課題から解決を図ろうとしても、根本的な解決につながらないこともあり非効率的です。
課題は、実際に介護スタッフが働く現場にあるものがほとんどです。そのため、現場のスタッフから課題をヒアリングします。介護業界での課題は以下のような内容があげられます。
- 業務フローの問題
スタッフ間の引き継ぎの頻度が多い、介護記録を手書きでメモし事務所でデータ入力しているなど、報告や資料作成に時間がかかっている。
- 利用者のようすや行動の把握
利用者の転倒や徘徊などの事故を防ぐ必要があるが、スタッフの目だけでようすを把握することが難しい。
- 入館者訪問の対応が多い
利用者の家族や医療関係者のほか、リネン交換や給食などの多くの業者も出入りするため、入館者の訪問対応に時間が取られる。 など
スタッフ全員から課題をヒアリングできるように、入力シートを用意するなど体制を整えておくことが必要です。
【STEP2】具体的な改善案の策定
業務の課題が可視化できれば、課題に対して具体的な改善案の策定を進められます。改善案は以下の3つを軸に検討すると進めやすいです。
- 業務の標準化
一部の人しか業務を把握できていない属人化しているケースや、マニュアルやルールがないケースでは人材育成にも影響し非効率的です。標準化で解決できる課題はないか検討します。
- 無駄な業務を削減
課題をヒアリングすると、チェックや記録作業など重複している作業を発見できます。業務の標準化により、無駄を省ける業務も出てくるでしょう。
- ツールの導入
業務の標準化や削減だけでは解決できない課題に対しては、介護スタッフの負担を減らせるように利便性の高いツールを活用する方法もあります。
【STEP3】改善案の実施、効果検証
改善案が策定できれば、実行に移していきます。業務改善の効果が大きく見込めるものや、取り組みやすいものから優先して進めると成功につなげやすいです。また、関連している改善策は並行して進めると効率的です。
改善策を実行できたものは、必ず振り返りを行って効果を検証することが大切です。業務改善の効果検証は、以下のような観点で振り返ります。
- 計画通りに進められたかどうか
- 目的を達成できたか
- どれくらいの効果があったか
- 実際に進めるうえで問題は生じていないか
さまざまな観点から振り返りを行い、問題があれば修正が必要です。反対に少しでも業務改善の効果があれば成功体験となり、そのノウハウを活かして次への取り組みにも進みやすくなります。よい結果につながるように、常に業務改善への取り組みを継続することが大切です。
介護業界の業務改善に効果的な方法
介護業界の業務改善に効果的な方法を紹介します。
AIカメラやクラウドカメラの導入
介護施設では施設内のセキュリティ向上や利用者の見守りのために、防犯カメラを設置している施設も増えています。防犯カメラの機能は進化しており、AIカメラやクラウドカメラを導入することで利用者のようすを把握しやすくし、徘徊などの防止も実現できます。
クラウドカメラの場合、ネットワークを介してスマホやパソコンなど遠隔から映像を確認できます。介護施設では24時間利用者を見守る必要があり、定期的に各部屋を巡回してようすをチェックしなければならず、大きな負担となっています。そこで、クラウドカメラを導入すればスタッフルームからリアルタイムでようすを見守れるため、何度も部屋を往復する必要はなくなります。
また、防犯カメラには動体検知機能が備わっているものもあり、動きを検知すると録画を開始しスマホなどに通知してくれます。この動体検知機能はAI機能を備えたカメラの場合、カメラ映像内の人を識別し、あらかじめ指定したエリア内の侵入を検知できるものもあります。そのため、夜間の徘徊防止などにも有効活用できます。
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介護ソフトの導入
介護業務では、介護の計画や記録、スタッフ間との業務連絡など、事務作業も多く抱えています。これらの報告資料などを手書きやExcelなどで作成していると、業務の負担が大きくなります。
介護業界向けの専用ソフトは複数販売されており、介護業務に必要となる各作業がそれぞれ連動しているため、二重入力を削減し業務の効率化を図れます。たとえば、利用者の体調を介護ソフトに入力すれば、介護記録やスタッフ間の連絡などに自動で反映され、作業効率が向上します。タブレットなども併用すれば、事務所へ戻らず都度入力でき、無駄の削減と介護スタッフとの情報共有にも役立ちます。
そのほか、介護ソフトに蓄積したデータを分析し事故発生率などの解析が可能なものや、ベッドやバイタル機器などの介護ケア用品と紐づけられる介護ソフトもあります。
インカムの導入
広い敷地の介護施設では、スタッフ間の連絡をスムーズにするためにインカムの導入が効果的です。従来では、PHSなどを利用する方法もありましたが、全員に状況共有ができないため効率的とはいえません。
インカムを導入することで離れた場所からでもスムーズに連絡できるうえ、複数人での状況共有が可能となります。新人教育の面においても質問や指示事項のやりとりができ、フォロー体制も整います。情報共有の手間を省き、円滑なコミュニケーションを図れるようになります。
排せつ予測機器の導入
排せつ予測機器とは、超音波センサーによって膀胱の膨らみを検知して、尿がどれくらい溜まっているのかを把握できる機器です。介護スタッフは、利用者の排せつ介助も大切な仕事のひとつです。排せつ予測機器の導入により、トイレへの誘導や排せつパッドの交換などの目安がわかるようになり、業務の効率化が可能です。また、利用者の排せつの自立支援にも役立つ機器です。
見守りシステムの導入
介護の業務をサポートする見守りシステムの導入も効果的な方法です。ベッドやマットなどにセンサー機能を取り入れることで、利用者の状態や行動を把握し、データ収集や異常を検知してくれます。
たとえば、ベッドにセンサーを取り付けることで、ベッドの出入りや寝返りの状態、睡眠時間などを計測でき、長時間寝たきりの状態の把握やベッドからの転落防止に役立ちます。また、ベッドサイドやドア付近にセンサー機能を搭載したマットを設置しておき、ベッドから立ち上がったときや部屋の外に出た際に、スタッフに通知が届くなどのシステムもあります。介護スタッフの負担を軽減しながら、利用者の状態把握と異常時の早期対応が可能となります。
介護業界の業務改善にクラウドカメラを導入した事例
セーフィーのクラウドカメラは介護業界において、さまざまな施設から利用いただいています。実際の導入事例をみながら、導入して得られた効果や業務改善できたポイントなどを紹介します。
業務効率化・サービス品質向上・人材育成など幅広い業務改善が実現
「希樹屋」様はセーフィーのクラウドカメラを導入し、利用者との面談の際に活用しています。面談では報告書を残す必要があり、メモを取りながら進める必要がありましたが、クラウドカメラを導入することで面談に集中できるようになり、利用者との対話の品質向上につながっています。面談や報告書作成が効率的に進められるようになり時間の削減にも成功、またベテラン介護スタッフの声掛け方法を参考にできるため人材育成にも活用できています。
「希樹屋」様の事例詳細はこちら
万一のため現場のありのままを記録できるカメラとして活用
「ヒューマンライフケア株式会社」様はセーフィーのクラウドカメラを導入し、トラブルの早期解決のために活用しています。介護施設は複数の方が生活されるため、入居者どうしのトラブルが起こることもあります。双方からのヒアリングだけでは、解決に至ることは難しいのが実態でしたが、カメラ映像で事実確認ができるためトラブルの解決につながっています。また証拠映像がなければスタッフの不利に働くこともあるため、スタッフを守ることにもつながっています。
「ヒューマンライフケア株式会社」様の事例詳細はこちら
介護施設の防犯対策・利用者と介護スタッフを見守れるカメラとして導入
「遠藤接骨院ヘルパーステーション」様は、介護施設の利用者と介護スタッフを見守るため、セーフィーのクラウドカメラを導入しています。施設の出入口や共有部分にカメラを設置し、事務所からスタッフが見守り利用者の徘徊防止などにつなげています。また、定期的に映像をチェックし、スタッフの業務改善にも活かされています。
「遠藤接骨院ヘルパーステーション」様の事例詳細はこちら
介護業界はツールの導入で省人化を促すことが可能
介護業界のさまざまな問題を解決するために、効果的なツールの導入がポイントです。上記で紹介したようなツールを積極的に取り入れることで介護スタッフの負担が減り、少ない人員でも業務を効率的にまわせるようになる「省人化」が可能となります。
とくに介護施設は多くの利用者のケアをはじめ、状態やようすを常に把握し事故などのトラブルから守る必要があります。介護スタッフだけで介護施設すべてを見守ることは難しいため、クラウドカメラやAIカメラの導入が業務改善に効果的です。
クラウドカメラやAIカメラを導入することで、スマホやパソコンから施設のようすを確認できます。異常があれば介護スタッフに通知して知らせてくれるため、早期のトラブル発見と解決が可能です。利用者の状態だけでなく、入館者のチェックやスタッフどうしの情報共有など幅広い活用方法があるため、多くの介護業務の改善に有効です。
まとめ
セーフィーではさまざまなカメラを提供しており、多くの介護事業者様への実績も多数あります。上記紹介のクラウドカメラを導入した介護事業者様の事例のように、業務効率化やサービス品質向上、人材育成、正確な状況確認などに活用いただけます。業務改善の方法にお悩みの方は、ぜひセーフィーまでご相談ください。
- 介護業界向けクラウドカメラ活用ガイド
- 利用者”も“その家族”も“スタッフ”も笑顔でいるための事例を紹介。課題に合った活用方法についてお気軽にご相談ください。