工事現場における歩行者の安全確保は、建設業者にとっての責務のひとつです。工事現場とその周辺にはさまざまな事故のリスクがあり、作業員だけでなく通行人の安全確保も欠かせません。

本記事では、工事現場で実際に起きている歩行者の事故の種類や原因を解説するとともに、効果的な安全対策について、詳しく説明します。

工事現場で歩行者に起こりやすい事故

工事現場には、さまざまな歩行者との事故の危険が潜んでいます。特に、工具や建材の落下、重機との接触、転倒、交通事故などは、一歩間違えば重大な人身事故につながる危険性があります。

工事業者には、こうした事故を未然に防ぐための適切な安全対策を実施しなければなりません。ここでは、工事現場で起こり得る歩行者事故の種類と、その危険性について見ていきましょう。

工具や建材の落下事故

工事現場における落下事故は、人命に関わる重大な事故につながります。2016年10月に六本木で発生した事故（※1）では、11階建てビルの10階部分での足場解体作業中に、長さ約1.8メートル、太さ約3センチの鉄パイプが落下し、歩道を歩行中の男性が死亡しました。

この事故では、落下防止パネルが設置されていたものの事故の発生が防げなかったことに加え、被害者の死亡という重大な結果におよんでいます。

重機などとの接触事故

重機との接触事故は、重大な結果になりがちです。2024年2月には、つくば市栗原の道路改良工事現場で、散歩中の60代男性が重機のショベルと接触し、胸骨にひびが入る事故が発生しています（※2）。

事故当時は重機の出入りのためにバリケードが一時的に撤去された状態で、通行止めの看板も歩行者からは確認できない状況でした。

つくば市では本事故を受けて、工事現場の交通規制方法の再確認や、誘導員や作業員への安全対策の再教育を指示し、すべての受注業者に対して安全対策の徹底を求めています。

転倒事故

工事現場周辺の歩行者にとって、足場の悪い場所や段差は大きな危険要因となり、転倒事故につながるリスクがあります。

工事現場での転倒事故の主な原因として、コンクリート剥離による地面の凹凸が挙げられます。工事作業によって路面が荒れた状態になると、通行者が足を取られやすくなり危険です。

また、工事による一時的な段差の発生も転倒事故の発生要因になります。特に夜間は視界が悪くなるため段差を見落としやすく、転倒事故のリスクが高まるでしょう。さらに、雨天時には路面が滑りやすくなり、転倒の危険性が増します。

交通事故

工事現場周辺での交通事故は、工事に伴う路面状態の変化や視界の制限により発生するケースが少なくありません。特に自転車や自動車などの車両が関わる事故は、重大な被害につながる可能性が高いため、細心の注意が必要です。

工事車両の出入りが頻繁な現場では、歩行者との接触事故のリスクも高まります。さらに、工事による迂回路の設置は、普段と異なる交通環境を生み出すため、運転者の戸惑いを招く可能性も否定できません。

また、アスファルトの切削工事や埋設工事による路面の段差や凹凸は、自転車にとって転倒事故の原因になるでしょう。また、工事現場から飛散した砕石や釘などによってタイヤがパンクする事故の例もあります。

工事現場の歩行者が事故に遭う原因

工事現場における歩行者の事故は、安全対策の不備と人的要因のほか、環境要因が複雑に絡み合って発生します。安全対策の不備としては、歩行者通路の幅員不足や工事区域との区分けの不明確さ、夜間照明の不適切な設置などが挙げられるでしょう。工事内容や迂回路に関する情報提供が不足していると、歩行者が危険を予測できず、事故のリスクが高まります。

人的要因として挙げられるのは、交通誘導員の不適切な配置や誘導、歩行者の不注意による工事区域への立ち入り、作業員の安全確認不足などです。さらに、工事車両の出入りによる接触の危険性や、資材による視界の遮断、雨天時の路面状態の悪化といった環境要因も、事故の発生の原因になるでしょう。

工事現場の管理者には、事故原因を十分に理解し、効果的な予防措置を講じることが求められます。

工事現場における歩行者の事故を防ぐための安全対策

工事現場における歩行者の事故を防ぐためには、複数の安全対策を組み合わせた総合的なアプローチが必要です。作業員への教育から設備の整備まで、幅広い観点から事故防止に取り組むことで、より確実な安全確保が実現できます。

以下で、具体的な対策について詳しく見ていきましょう。

作業員への教育

現場で働く作業員の安全意識向上は、事故防止の基本といえます。現場での安全教育は、特に新規入場者に対して入場時にしっかりと実施しましょう。

定期的な危険予知訓練（KYT）や安全講習会の開催や、外部講師を招いての専門的な研修、プレゼン型の安全訓練など、さまざまな方法で継続的な教育を行うことが大切です。

作業員は日々の業務に慣れてくると、現場に潜む危険への意識が薄れがちになり、必要な安全対策を省略する傾向があります。こうした安全意識の低下が重大事故につながる可能性があるため、常に緊張感を持って作業にあたれるよう、意識付けを行いましょう。

歩行者や近隣への注意喚起

歩行者の安全確保には、適切な工事情報の提供と注意喚起が欠かせません。工事開始前には近隣住民への工事のお知らせを配布しましょう。特に周辺に学校や病院、福祉施設がある場合は、個別に連絡を取って協力を要請する必要があります。

工事現場周辺では、歩行者通路の起終点に注意喚起の看板を設置し、危険箇所を明確に表示することも大切です。また、専任の安全巡視員によるパトロールを実施し、現場周辺の安全確保に努めることも求められます。

夜間や悪天候時は照明設備や反射鏡を適切に配置し、歩行者の視認性を確保しましょう。

工事現場周辺の立ち入りや交通禁止

工事現場における安全確保のために、工事区域への立ち入り制限や交通規制が必要なケースもあります。

工事区域と歩行者空間は、バリケードやフェンスなどを使用して明確に区分し、工事区域への不用意な立ち入りを物理的に遮りましょう。夜間は視認性が低下するため保安灯や反射材を適切に配置し、区域を明確に示すことも必要です。

さらに工事の規模や内容に応じて、歩道の通行制限や迂回路の設定、車道の一部規制による歩行者空間の確保、工事車両の出入り時における一時的な通行止めなど、状況に応じた規制を行います。

こうした規制を行う際には、工事区域への立ち入り防止や歩行者の安全な誘導、工事車両の出入り時の安全確保のために交通誘導員を配置しましょう。特に通学路や高齢者施設の近くでは、より丁寧な誘導と声かけが必要です。

機器などの点検の徹底

工事現場における機器の点検は、作業員と歩行者の双方の安全を確保するために欠かせません。定期的な点検を怠ると、機器の故障や誤作動により重大な事故につながる可能性があります。

作業開始前には、ブレーキやクラッチの機能、操作装置の異常の有無を必ず確認しましょう。点検時に異常が見つかった場合は、直ちに補修や部品交換などの必要な措置を講じなければなりません。消耗品の交換や故障箇所の修繕を先送りにすることは、予期せぬ事故を引き起こす原因となるためです。

作業効率を優先するあまり点検を怠ると重大な事故につながる可能性があるため、計画的かつ確実な点検の実施が求められます。

安全設備やグッズの利用

工事現場での事故防止には、適切な工事現場用品を活用しましょう。特に歩行者の安全を確保するために、以下のような設備やグッズの使用がおすすめです。

• 安全コーン
• 工事用看板・のぼり
• 防犯灯
• LED指示バトン
• 安全柵

安全コーンは、工事現場や道路の規制、区分けに使用する円錐形の保安器具として広く活用されています。歩道を一時的に塞ぐ必要がある場合は安全コーンを適切に設置し、歩行者が安全に通行できるスペースを確保しましょう。

工事用看板やのぼりは、歩行者に工事の状況や注意事項を視覚的に伝える役割を果たします。設置する際は、歩行者が認識しやすい場所を選び、強風で転倒や飛散が起きないようしっかりと固定することも大切です。

夜間の安全確保には、防犯灯やLED指示バトンが活躍します。特にLED指示バトンは、従来の紅白手旗による誘導と比べて視認性が高く、おすすめです。

安全柵は工事現場を周囲から隔て、歩行者の安全を守るために設置します。平面型や伸縮型など、現場の状況に応じて適切なものを選択しましょう。

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工事現場の歩行者安全対策にはクラウドカメラが有効

近年では従来の工事現場における安全対策に加えて、クラウドカメラの活用が効果的な解決策として注目を集めています。遠隔地からの確認や24時間体制での安全管理が可能となり、歩行者の事故防止に大きく貢献するおすすめの対策法です。

以下で、詳しく見ていきましょう。

歩行者の安全対策にクラウドカメラがおすすめの理由

クラウドカメラは、複数の現場を一括で効率的に管理できます。特に遠隔地の現場でも、スマートフォンやパソコンからリアルタイムで状況を確認できるため、危険な状況を素早く察知することが可能です。

夜間や休日など無人となる時間帯でも、動体検知機能や人検知機能と組み合わせることで不審者の侵入や危険な行動を自動で検知し、通知によって即座に気付くことができます。また、広角カメラなどを設置し現場全体を死角なくカバーすれば、歩行者の安全確保と作業員の不安全行動の早期発見が可能です。

さらに、クラウドカメラは安全管理だけでなく、事故の記録や安全教育の教材としても活用できる点もメリットといえるでしょう。事故発生時の原因究明や施工進捗の確認など、さまざまなシーンにおいて現場の安全性工場に貢献します。

工事現場の歩行者安全対策におすすめのカメラ

「工事現場の安全管理をより確実に、より効率的にしたい」そのようなニーズに応えるのが、LTE搭載の現場向けクラウドカメラ「Safie GO（セーフィー ゴー）シリーズ」です。設置は電源を差し込むだけという手軽さながら、プロフェッショナルな現場管理を可能にする性能の高さを有しています。

全機種に搭載されているIP66の防水防塵性能により、厳しい屋外環境でも安定した運用が可能です。マイナス10℃から50℃まで対応する耐久性は、真夏の炎天下から厳冬期まで、現場を確実に見守り続けます。

モデル	画像	特長	防水防塵
Safie GO 180		180度の広角レンズ	IP66
Safie GO 360		360度全方位を撮影	IP66
Safie GO PTZ		PTZ操作が可能	IP66
Safie GO PTZ Plus		GPS搭載で設置位置を確認	IP66
Safie GO PTZ AI		エッジAI搭載で人物検出可能	IP66

広角レンズを搭載した「Safie GO 360」は、182度という広い視野角で現場全体を死角なく撮影できるのが特徴です。高所に設置すれば、作業エリア全体を一望できます。一方、エッジAI搭載の「Safie GO PTZ AI」は、高度な人物検出とピンポイント撮影を実現し、より詳細な安全管理が可能です。

さらに、LTE通信機能を標準搭載しているため、スマートフォンやパソコンからいつでもどこでも現場の状況を確認可能。現場のあらゆる課題に、柔軟な解決策を提供するSafie GOシリーズが、工事現場の安全管理を次のレベルへと導きます。

安全対策におけるクラウドカメラの活用事例「鹿島建設」

鹿島建設株式会社では、大規模な建設プロジェクトにおいてSafie GOシリーズの活用を積極的に進めています。同社の関東支店が管轄する現場では、施工エリアに10ヶ所、外部通路に9ヶ所のカメラを設置し、工事の進捗に応じて移設しながら効果的な安全管理を実現。導入後は、遠隔地からの安全管理が可能となり、現場不在時でも施工状況の確認ができるようになりました。

特に危険度の高い作業場所や工程がタイトな施工エリアの見守り、立ち入り禁止区域への不正進入の確認などに活用されています。

さらに、地震などの災害発生時には、カメラのPTZ（パン・チルト・ズーム）機能を活用して建物や足場などの被害状況を迅速に確認が可能。映像は現場担当者だけでなく支店の施工支援部門からもチェックでき、迅速な初動対応に貢献しています。

このように、Safieのクラウドカメラは日常の安全管理から災害時のBCP対応まで、幅広い用途での活用が可能です。特に鹿島建設株式会社においては、映像の鮮明さと操作性の高さが評価され、効率的な現場管理に大きく貢献しているとの評価を得ています。

工事現場の安全対策を見直して歩行者の事故をなくそう

工事現場における歩行者の安全確保は、建設業者の重要な責務のひとつです。落下物や重機との接触、転倒など、さまざまな危険が潜む工事現場では、基本的な安全対策の確実な実施が求められます。

さらにクラウドカメラを組み合わせることで、より高度な歩行者との事故防止対策が可能になるでしょう。Safie GO 360は、超広角レンズによって死角なく遠隔からのリアルタイム確認を可能にし、安全管理の効率化と品質向上に貢献します。

従来の対策に加えて先進のテクノロジーを活用し、より確実な安全対策を実現しましょう。

※1 出典：“鉄パイプが30メートルに落下 頭を貫通、通行人の男性死亡 東京・六本木”. 産経ニュース. 2016-10-14（参照 2024-1-29）
※2 出典：“道路工事中に重機と接触 歩行者の胸骨にひび つくば”. NEWSつくば. 2024-02-15（参照 2024-1-29）

※ セーフィーは「セーフィー データ憲章」に基づき、カメラの利用目的別通知の必要性から、設置事業者への依頼や運用整備を逐次行っております。
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