病院のAI導入事例を紹介|医療現場にAI技術が必要な理由とは

病院でのAI活用事例 医療現場にAIが必要な理由

医療現場では労働人口が減少している一方で、高齢者増加による医療需要は拡大しています。さらに働き方改革により長時間労働は規制され、医療現場を取り巻く環境は厳しい現状です。

近年、AI技術の進歩によって治療や診察をサポートする製品や技術が登場しており、AI技術の活用による医療現場の環境改善が期待されています。今回の記事では、医療現場にAI技術が必要な理由と導入するメリットを解説し、実際のAI導入事例もあわせて紹介します。

病院にAI技術の導入が必要な理由

さまざまな場面で開発や活用が進んでいるAI(人工知能)技術ですが、病院での導入が必要に迫られている状況です。その理由について詳しく解説します。

医療従事者の人手不足

少子高齢化に伴って労働人口の減少が進んでおり、医療従事者も例外ではありません。医療現場の人手不足は深刻な状況で、とくに地方ほどその問題は明確に現れており地域格差の課題も抱えています。また救急外来や外科などの診療科によっては過酷な労働環境であることから、働き方に不安を感じてしまい医師が減少する事態となっています。

このような人手不足の問題から、医療従事者が専門とは異なる分野の対応を迫られる場合もあり、一人あたりの負担が増えています。

労働環境の悪化が加速

病院では長時間労働が常態化している問題が以前からありましたが、人手不足によりさらに深刻化しています。労働環境が悪化すると、適切な診断や治療が行えず医療の安全性が危ぶまれる懸念もあります。実際に過酷な労働が原因によって引き起こされた医療事故も、数多くあるといわれています。

また働き方改革により長時間労働が規制されたものの、労働内容は変わっていません。そのため時間外労働は依然として発生しているにも関わらず、残業時間を申請できないという事態にもつながっています。

少子高齢化による患者の増加

少子高齢化の問題は労働人口の減少だけではなく、高齢者の増加に伴って医療ニーズの上昇にもつながります。生活習慣病を抱えている人は高齢者になるほど多くなり、病気が重篤化しやすいといった特徴があります。さらに入院中の介助の必要性も高まることから、高齢者の増加は医療現場のさらなる負担へとつながります。

政府も医療分野の「AI戦略」を推進

日本政府は、さまざまな分野での「AI戦略」を推進しており、その戦略目標として「AI戦略2022」を掲げています。「AI戦略2022」とは、災害発生時などの危機的な状況に対応し、社会実装の実現に向けた推進を図り、世界規模の課題や日本の抱える社会問題を解決することを目的にしたものです。サステナビリティや産業、教育分野など多方面から、AI技術の体系確立やAI人材を教育することを目標にしており、医療分野のAI開発に関する内容も含まれています

【医療分野に関する内容】

  • AI駆動の医療診断システム、さらには診断の信頼性評価システムの開発に向けた研究
  • AIを活⽤した医療機器の開発・研究における患者データ利⽤の環境整備
出典:“AI戦略2022の概要”.内閣府 科学技術・イノベーション推進事務局.2022-4(参照 2024-7-29)

このように、AI戦略2022でも医療分野において、AI技術の具体的な取り組みが含まれており、さらなる発展が期待されています。

病院にAI技術を導入するメリット

病院にAI技術を導入することで得られるメリットについて紹介します。

医療従事者の負担軽減と業務効率化が進む

医療現場にAI技術を導入することで、業務の効率化が進み医療従事者の負担が軽減されるといったメリットがあります。

AI技術は電子カルテの情報抽出やX線・MRIなどの画像解析にも役立ちます。医師の手動による入力や検索、目視による確認などをサポートしてくれるため、スピードアップや負担軽減が可能となります。

またAIによりレセプト作成やルーチンワークなどの自動化を図ることでできれば、スタッフの負担もより軽減されるでしょう。効率化や自動化が進めば長時間労働といった環境も改善され、患者ケア向上といったメリットにもつながります。

人的エラーの軽減・病気の早期発見が可能

医師不足や長時間労働といった問題が解決されないままでは、人的エラーの可能性が高まる恐れがあります。AIは大量のデータを学習できることに加えて判断の性能を向上させられるため、医師の誤った診断や人的エラーのリスクを低減し、医師が見落としてしまうような異常やリスクを検出できるといったメリットがあります。AIは医師をサポートし、さらには病気の早期発見にも寄与することが期待されています。 

データの収集・分析

AIは膨大な医学データや研究結果の情報から、診断や治療の提案を可能にします。医師による診断は知識や経験を必要としますが、AIであれば膨大なデータを扱えるため臨床診断をサポートできます。患者の症状や検査画像、数値を入力することで、可能性のある病気やその治療法などを示してくれる技術もあります。

とくに医師不足により専門外の診療にも対応しなければならない場合など、AI技術のサポートは大きな支援となるでしょう。

24時間365日稼働ができる

AI技術は人間と異なり24時間365日稼働を続けられる点もメリットです。緊急時や人の少ない夜間などの対応にも有効です。たとえばAIを活用した予約受付システムや、AI搭載カメラによるオンライン診療といったサービスも展開されており、診療時間や受付時間外でも対応が可能となります。

病院にAI技術を導入した事例

上記でもAI技術を導入したケースに一部触れましたが、ここでは6つの事例を詳しく紹介します。

AIの画像認識技術を活用

AIを活用した画像認識技術は、レントゲンやMRI、CTなどの画像を元に診断する際に活躍します。画像診断技術は、医療現場で取り入れたAI技術のなかでももっとも早く、多くの医療現場で導入されています

画像診断にAI技術を導入することで、自動撮影が可能となり、疑われる病名の提案や異常箇所の検出をおこなってくれます。画像をAIに学習させることでより精度が高まり、病気の早期発見や医師の負担軽減につながります。

AI搭載カメラによるオンライン診断

AI技術を活用したオンライン診断の医療サービスも登場しています。AIを搭載したカメラが患者の症状を分析し病名を予測、AI解析の診断結果をもとに医師が治療を行います。

感染症の蔓延で外出を控えたいときや、自宅療養中などにも対応可能となるサービスです。患者の健康促進のためオンラインでの診断結果をデータ化して、患者自身が管理できるサービスなども展開されています。

AI搭載ロボットの活用

AIを搭載した医療機器もあります。たとえば自動で採血してくれるAIロボットは、画像を識別して血管の位置などを的確に判断し、スムーズな採血が可能です。これにより何度も失敗をくり返し、患者へ負担をかけたり採血に時間をかけたりすることを防げます。

またAIが搭載された手術ロボットの開発も進められています。AIのデータ分析力を活用し、リアルタイムに最適な手術方法や順序を提案してくれる技術で、医師をサポートします。 

電子カルテの導入

カルテといえばこれまで紙のカルテが一般的でしたが、近年では「電子カルテ」の導入が進んでいます。電子カルテとは、パソコンやタブレットを使って作成されるデジタル形式のカルテです。手書きによるミスを防ぎ、必要な情報をデータベースからスムーズに参照できる利点があります。

さらに、電子カルテに記載された内容をAIが解析することで、処方箋のサポートもしてくれるため、患者さんの待ち時間の削減も可能になります。紙のカルテは保管場所にスペースコストがかかりますが、電子カルテは保管スペースを必要としない点もメリットです。

AI搭載型予約システムの活用

AIを活用した予約システムを導入し、混雑を避ける医療機関も増えています。病院では長時間の待ち時間が発生することも珍しくないため、待ち時間が少なくなることで患者にとっても快適性が向上します。

また病院の受付にロボットを導入する方法もあり、スタッフを配置することなく無人で受付対応が可能となります。予約や受付対応にAI技術を活用することで、作業効率を図り医療現場の負担を軽減できるようになります。

AIによるゲノム情報の臨床利用

ゲノムとは「DNAに記録された遺伝情報すべて」です。ゲノム情報は膨大なデータとなることからAIによるデータ解析の技術が必要不可欠です。

ゲノム情報は一人ひとり異なる固有性があり、体質や病気になる可能性について予測が可能とされています。たとえばがん細胞から遺伝子情報を解析することで、患者に合った治療も可能となります。

まとめ

医療現場が抱える働き手不足や労働環境の問題は、医療現場をサポートしてくれるAI技術の導入によって解消できると期待されています。国策としても研究や開発が進められており、今後はAI技術の活用が必要不可欠となるでしょう。

セーフィーではAIカメラやクラウドカメラを提供し、企業や社会が抱える課題の解決をサポートしています。セーフィーのカメラを活用することで、いつでも遠隔から現場を見守れるため、移動を省いたり迅速な判断ができたりと医療現場をサポートします。

▼医療現場でのクラウドカメラ活用方法はこちらをチェック

人手不足や労働環境の問題を抱えておりAI技術で医療現場の改善を検討している方は、ぜひ一度セーフィーまでご相談ください。

オンライン相談
オンラインでのご相談
入力項目はたった5つで簡単に予約可能!
お客様の課題や目的に合ったカメラの活用方法について、事例と併せてご提案します。
お気軽にご相談ください。