点検作業にドローンを導入することで難しい場所でも点検できるようになり、作業員の安全性の向上や、コスト・時間の短縮が期待できると注目されています。
この記事ではドローン点検のメリットや課題、実際の活用事例について詳しく解説します。点検作業の効率化を図りたい方は、ぜひドローン点検の導入を検討してみてください。
目次
ドローン点検とは?
ドローン点検とは小型の無人航空機を使って、建物や設備などの点検をおこなう点検のことです。ドローンにカメラや赤外線調査ツールなどの機能が備えられており、遠隔から人がドローンを操作することで点検作業を進められます。
点検作業をおこなう場合、作業員が高所や難所などに立ち入って点検する必要があり、安全性やコスト面、作業時間がかかるといった点に課題を抱えていました。しかしドローン点検を取り入れることで作業員の安全性が向上し、点検コストや時間の短縮が可能です。
ドローン点検が注目されている背景
ドローン点検が注目されている背景は、大きく2つの理由があります。
ドローンの規制緩和
ドローンは航空法施行規則により使用方法が定められていますが、2021年9月に一部改正されドローン使用の規制が一部緩和されました。また建造物は建築基準法によって定期的な点検が義務付けられていますが、この法廷定期点検においてもドローンによる赤外線調査が2022年4月より認められています。これらの法規制の緩和によって、ドローン点検が注目されるようになりました。
少子高齢化による人手不足
少子高齢化による人手不足から、点検作業に対応する人手が慢性的に不足している課題に加え、社会インフラが老朽化している問題も追い打ちをかけています。日本では高度成長期に多くの社会インフラが整備されたためそれらの老朽化が進んでおり、点検やメンテナンスの需要が高まっています。
このように点検業務は、人手不足や社会インフラの老朽化などの課題を抱えています。そこで人の代わりに点検をおこなってくれるドローン点検を導入することで、作業員の人手不足解消につながり、危険性がある場所でも安全に点検できると期待が高まっています。
ドローン点検を活用するメリット4つ
ドローン点検を活用することで、以下のように4つのメリットがあります。
1. 難所での点検において安全性確保できる
点検をおこなう現場は、高所や難所などでおこなわれることも多数あります。作業員が点検をおこなう場合、高所から転落する危険性や、倒壊やガス漏れなどの事故が起きるといった危険性があります。
しかしドローン点検であれば、高所や難所でも離れた場所から操作して点検できるため作業員の安全を確保できます。ドローンが身代わりになってくれ、作業員の安全を確保できる点は大きなメリットです。
2. 作業コスト削減と業務効率化につながる
点検ドローンの導入は従来の点検方法よりも大幅に作業コストを削減でき、業務効率化につながります。たとえば高所作業の場合、足場を組んだり高所作業車を用意したりする必要がありますが、ドローン点検であればこれらの設備や機器が不要となるためコスト削減が可能です。
また足場は機材の搬入や組み立てが必要ですが、それらを作業を省略できるため、点検作業の時間を大幅に短縮でき業務効率化につながります。
3. 点検精度を向上できる
点検ドローンは精度の高い点検が可能です。高性能なカメラを搭載していることで、人が近づきにくい場所でも精度の高い映像や画像から対象物の状態をチェックできます。
さらにAI機能を組み合わせれば自動で劣化箇所を検出できるため、目視よりも正確に点検できる点がメリットです。ドローンで撮影した映像をリアルタイムで関係者に共有できるので、複数人でのチェック体制も構築できます。
4. 少人数で効率的に点検作業ができる
点検ドローンは従来の点検方法よりも少ない人数で対応できるメリットもあります。人が点検作業をおこなう場合、足場や重機などを運搬したり設置したりなど事前の作業が必要です。点検中も点検作業員に加え、重機を運転するオペレーターなどほかの作業員も必要となります。
一方、ドローン点検であれば点検作業の準備に必要だった時間や人員を削減できるため、結果的に少人数で効率的に点検作業がおこなえます。
ドローン点検における課題とは?
ドローンを活用した点検方法は多くのメリットにつながりますが、課題を抱える部分もあります。
撮影しにくい場所や飛ばせない場所がある
ドローン点検はどの場所でも点検できるわけではありません。点検場所によっては人が入るのがやっとのスペースしかない場所もあり、ドローンが入り込めない構造や狭所の場合は撮影ができないこともあります。自社でドローン点検を有効活用できそうか、十分に検討することが大切です。
またドローンは航空法などで飛行させるエリアや飛行方法に規制があります。さらに各市町村によって規制の条例が設けられていることもあるため、そもそも飛ばせない場所があることも認識しておかなければなりません。
空港やヘリポートの近くや人の密集エリアの上空など、細かく飛行禁止区域が定められています。法律や条例を理解したうえで、正しい運用が必要です。
打診・触診点検はおこなえない
ドローン点検は今現在、打診や触診点検できる機能を備えているものは登場していません。打診や触診点検は、建物内部の亀裂や腐食、空洞を検知するためにおこなう検査で、ハンマーなどでコンクリートを叩いて音の異常から判断します。
一方、ドローンは周囲と十分に距離をとる必要があるため、建物に直接触れる検査方法は難しい点が課題として挙げられます。ドローン点検だけでは判断が難しい場合もあり、打診・触診点検との併用が必要となるケースもあります。
接触する点検方法を前提としたドローン開発や、放射線や超音波、電流を使って内部や表面の傷を検出する「非破壊検査」が可能なドローンなど新技術の開発が進められています。
点検時に応急処置はできない
ドローン点検は映像を確認して状態を判断する点検方法であるため、点検時に異常があった場合の応急処置はできません。打診・触診点検がおこなえないのと同じ理由で、建物から距離をとっておく必要があります。処置するために作業員が現場に行く必要がある点は考慮しておかなければなりません。
しかし、ドローンでの点検をまとめておこない、必要な箇所だけ作業員が処置を施すといった方法も可能なので、効率的に点検できるメリットは享受できるでしょう。
天候や電波状況に左右されやすい
ドローンは天候に左右され安い面を持っています。防水性能を備えたドローンもありますが、雨による機器の故障や劣化の可能性もあり、レンズに水滴がついて思うように撮影できないといったこともあります。またドローンは風の影響も受けやすく、耐風性能を上回る風速がある場合は飛行させてはならない規制もあり、天候や風速に注意しておく必要があります。
さらにドローンは衛星通信が使えない環境下では安定して飛行できない点も注意が必要です。ほとんどのドローンはGPS機能によって位置の把握や維持しており、通信環境が悪い場所では安定した飛行ができません。GPS以外で位置把握できるドローンの開発も進められているものの、通信環境にも配慮しておく必要があります。
ドローン点検が有効に活用できる場所
ドローン点検が実際に有効活用されている施設や設備を紹介します。
工場やプラントの点検
工場やプラントは稼働を停止させると生産性を低下させてしまうため、定期的な点検が必要不可欠です。しかし危険なエリアや高所も多数存在しており、足場が必要な設備や目視確認が難しい場所などが混在しているケースもよくあります。このような状況でもスムーズに点検できるドローンが有効です。ドローン点検を導入すれば、高所や難所でも安全かつ効率的に点検作業を進められます。
橋梁の点検
橋梁は、河川や運河など水の上に架けられるため点検に手間を要します。道路上の点検では道路規制をおこない、通行者の安全を確保しなければなりません。
しかしドローン点検をおこなえば、点検が難しい橋梁の裏側や下方なども点検しやすくなり、交通規制をせずにすむといったメリットもあります。また橋梁は交通の要所でもあるため、ドローン点検を活用すれば定期点検だけでなく、災害直後の迅速な点検にも対応できるようになります。
大型構造物の点検
クレーンや高所作業車など大型構造物の点検にもドローンが有効です。大型の設備機器は簡単に点検がおこなえず、破損や不具合があると大きな事故につながる可能性があります。そのためドローンを用いれば、地上からの目視点検だけでなく上空やさまざまな角度から点検できるようになります。
火力発電所設備の点検
火力発電所の点検はボイラーや煙突などの危険な箇所や狭所、高所などの点検があります。たとえば煙突の点検は狭くて距離のある空間であるため点検に手間や時間を要しますが、ドローンであれば簡単に作業を進められるようになります。
鉄道設備の点検
鉄道は広範囲に渡っており、人が立ち入りにくいエリアも複数ある設備です。地下やトンネル、山奥を通る鉄道もあるため、検査が困難になるケースも少なくありません。また人が点検する場合は列車が走行していない夜間に点検をおこなう必要もあります。
一方、鉄道設備の点検にドローンを用いることで、広範囲に渡る場所や人が立ち入りにくい場所でも少ない人員で点検でき、列車走行している昼間の時間帯でも点検できるようになります。
配管の点検
ドローン点検は配管の点検にも有効です。配管は地下や高所を通っていることもあり、配管内部は有害物質が発生する可能性もあります。
そのほか、配管を清掃してから点検をおこなう必要がある、配管の量が膨大すぎて点検作業に時間がかかるといった課題も抱えています。このような配管点検でもドローンを使用することで、作業員の安全性を確保しながら作業効率の向上が可能です。
ドローン点検はリアルタイム視聴できる『Safie Connect』の導入がおすすめ
「Safie Connect(セーフィー コネクト)」は、ドローン映像をリアルタイムに伝送できるルータです。クラウド録画サービスを運営するセーフィーが提供しているツールで、ドローンをはじめHDMI出力が可能なさまざまなデバイスの映像を、セーフィークラウドにリアルタイムに伝送できます。
Safie Connectの特長は以下の通りです。
遠隔からリアルタイム視聴
ドローン映像をリアルタイムに確認できない場合、対象物の様子を確認しながら点検できないため、あとから映像を見直す必要があります。その際、映像がうまく撮影できていないと、再撮影しなければならないといった問題も生じます。
その点Safie Connectなら、離れた場所にいてもリアルタイムに映像を確認できるようになります。現場にいるドローンの操縦者や遠隔の事務所にいる管理者など、複数人で映像をリアルタイムに共有できます。
映像データはクラウド保存
Safie Connectはドローンで撮影した映像を自動でクラウド上にアップロードします。リアルタイム視聴はもちろん、映像の振り返りも容易です。SDカードなどが不要なため、データの共有に手間がかかることやデータを紛失する心配もありません。
簡単接続
Safie Connectを挿して送信機につなぐだけで簡単に使用できます。すぐに映像のアップロードが開始されます。
このように、Safie Connectを導入することで映像はクラウドに保存され、リアルタイムで映像確認もできるので上記のような懸念点は払拭できます。ドローンを導入したものの「うまく活用できていない」「もっと効率化を図りたい」と考える場合は、Safie Connectの接続がおすすめです。
ドローン点検に「Safie Connect」を活用した事例
ドローンを導入する前と後では点検作業の効率や安全性が向上し、さらに「Safie Connect」をつなぐことで飛躍的な効果につながっていることがわかります。
今回は、主に関西電力の火力発電所・原子力発電所の設備の保守・点検や、プラントの建設を手掛けている関電プラント株式会社の事例を紹介します。
【点検の課題:ドローン導入前】
- ボイラーの内部は粉塵があるため、点検のために防護服や防塵メガネを装着しなければならない。
- 水タンクの点検は、一旦水を抜く必要がある。
- 足場を組んだり高所作業車を使ったりしないと点検できない場所がある。
【ドローン導入後の効果】
- ドローンであれば人が行くより危険性がなくなった。
- 従来の方法よりも簡単に状況確認できた。
- コスト削減や時間短縮につながった。
【ドローンに「Safie Connect」をつなげた場合】
- リアルタイムで映像確認できるようになり、見たかった場所が確認できない、撮影ミスにより再撮影しなければならないといった問題が解消した。
- 遠隔から現場の操縦者に対して「右側を見せて」というように、映像を確認しながら指示を出して点検できるようになった。
- リアルタイム視聴は社内だけなくお客様にも同時に確認してもらえる。直接現場に行く必要がなくなり、移動にかかるコストや時間の低減といった相乗効果にもつながった。
まとめ
ドローン点検を導入することで、高所や危険なエリアに立ち入ることなく点検のための事前準備も省略できるため、業務効率や安全性の向上へとつながります。また人による目視ではなく高性能のカメラ映像から複数人で確認できるため、点検の性能も向上できます。さらにドローン映像はクラウド上にデータ保存し、リアルタイム視聴できる環境をつくることでよりスムーズに点検できるようになります。
セーフィーはカメラとクラウドプラットフォームを駆使し、さまざまな業界にDX推進や映像ソリューションを提供している会社です。ドローン点検をすでに導入している、もしくはこれから検討する企業様も、ドローン映像をリアルタイムに伝送できるルータ「Safie Connect」をご検討いただければ幸いです。
Safie Connectの活用方法などについては、セーフィーまでお気軽にご相談ください。
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